【前編】避妊について徹底考察!〜近代の避妊法とこれまでの歴史を振り返る〜

今回は、前後編にわたって、避妊の歴史や進歩を振り返りながら徹底考察してみます。
重見大介 2025.06.10
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本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

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妊娠を意図しない性行為において、避妊はとても重要です。避妊という言葉から、どのような方法を思い浮かべるでしょうか?実は避妊には長い歴史があり、現在も多様な避妊法が開発され続けています。

今回は前後編の2回にわたって、避妊法の過去、現在、そして未来について徹底解説していきます。他ではあまり読めない内容だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください!

この記事でわかること

  • 現代における避妊の役割

  • 人類におけるこれまでの避妊の歴史

  • 避妊法の種類

  • 近代的避妊法とは何か、その発展の経緯

  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

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避妊することの意味とは

避妊は、現代人の健康とライフスタイルにおいて重要な役割を果たしています。

まず、避妊をすることで、意図しない妊娠を防ぎ、これによって子どもをいつ、何人産むのかを自分たちで計画できるようになります。つまり、家庭の経済的安定や子ども一人ひとりへ十分な教育やケアを与えることができるようになるんですね。

また、適切な避妊の利用は、性感染症の予防にもつながり、個人だけでなく社会全体の健康水準を向上させることにもつながります。そして、避妊は人工妊娠中絶数を減らす効果もあり、女性の身体的・精神的負担を軽減する上でも重要な意味を持ちます。

さらに、避妊は女性の社会進出を後押しし、エンパワーメントを促進しています。「生殖に関する自己決定権(Reproductive Autonomy)」とも呼ばれますが、女性が自身の身体や生殖について自分で判断し、自立した人生設計やキャリア設計をすることが可能になります。これにより、女性が社会的・経済的に活躍する機会を広げるだけでなく、性別による不平等(ジェンダーギャップ)の是正にもつながっていきます。

これまでのニュースレターでも、性教育を通して避妊法を伝える重要性や、さまざまな避妊法について解説していますのでぜひご参照ください。

しかし、実は現在でも世界では2億5000万人以上の女性が安全で効果的な避妊法を利用できていません。その理由は様々ですが、安全で効果的な避妊法へのアクセスがないことや、社会・文化的背景や偏見等によって使用できないことがあげられます。

安全で効果的な避妊法をすべての人が利用できるような社会になるには、まだ時間がかかりそうですね。日本でも避妊手段へのアクセスや環境に不便さがあったり、まだまだ知識不足や偏見が根強かったりしますが、女性の「生殖に関する自己決定権(Reproductive Autonomy)」がほとんど保証されていない国や地域のことを考えると、胸が痛みます。

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