月経困難症治療用のピルに避妊効果はある?超低用量ピルは?徹底解説
ピルに関するよくある疑問の一つ「月経困難症治療用のピルに避妊効果はあるのか」について、徹底解説します。
この記事でわかること
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低用量ピルの種類と具体例
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経口避妊薬の避妊効果
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月経困難症治療用のピルの避妊効果はあるのかどうか
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マイオピニオン(私個人の考えや意見)
低用量ピルの種類
ピルとは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの成分を含む女性ホルモンの薬で、排卵や子宮内膜の増殖を抑制し、頸管粘液を減少させて精子の侵入を阻止することができ、避妊効果を発揮します。また、こうしたメカニズムによって月経量を減らしたり月経痛を軽くしたりする効果もあります。
日本では、使用目的によって大きく2種類に分けられており、
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避妊目的(いわゆる経口避妊薬):自費
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月経困難症や子宮内膜症の治療目的(いわゆるLEP製剤):保険適応
と区別されています。
なお、本記事では中用量ピルや緊急避妊用ピルについては取り扱いません。
避妊目的
具体的な薬剤名として、以下のようなものがあります。
トリキュラー28、トリキュラー21、アンジュ28、アンジュ21、ラベルフィーユ28、ラベルフィーユ21、ファボワール28、ファボワール21、マーベロン28、マーベロン21、シンフェーズ。
*「28」、「21」は偽薬が入っているかどうかの違いで、「28」には7日分の偽薬が含まれています。
値段は、自費で2000〜3000円/シートが目安です。
月経困難症や子宮内膜症の治療目的
具体的な薬剤名として、以下のようなものがあります。連続で服用できる期間や、黄体ホルモンの種類に違いがあります。
ルナベルLD、ルナベルULD、フリウェル配合錠LD、フリウェル配合錠ULD、ヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチ配合錠、ジェミーナ配合錠。
*「ULD」は卵胞ホルモン量少なめで「超低用量ピル」に該当します。ヤーズやジェミーナ配合錠も「超低用量ピル」です。
値段は、保険適応で1500〜2000円/シートが目安です。
経口避妊薬の避妊効果
それでは、まず避妊目的に販売されている経口避妊薬の避妊効果を確認しておきましょう。
例えば、経口避妊薬の一つ「マーベロン」の添付文書を見てみると、以下の内容が書かれています。
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避妊を希望する女性992例について実施された臨床試験において、妊娠が1例みられ、避妊効果は99.9%、延べ服用周期(14,088周期)におけるパール指数は0.085だった。
*パール指数:100人の女性が一年間に妊娠する件数
同様に、経口避妊薬の一つ「トリキュラー」の添付文書を見てみると、以下の内容が書かれています。
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避妊を希望する女性を対象とした国内一般臨床試験及び長期投与試験で、投与1周期以上の総計924例(13862周期)で避妊効果が評価された。飲み忘れがあったのは362例(943周期)であり、このうち3錠以上を飲み忘れた4例で妊娠が認められた。薬剤効果不十分による妊娠例は認められなかった。
つまり、毎日飲み忘れなく服用していた女性では予期せぬ妊娠は1例もなかった、ということになるでしょう。
なお、経口避妊薬の避妊効果としては以下の説明が一般的に用いられています。
コンドームだけに比べると、非常に避妊効果が高いことがわかりますね(コンドームでは下の数値がそれぞれ2, 13です)。
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正しい使用による100人の女性あたりの妊娠数 / 年=0.3
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一般的な使用での100人の女性あたりの妊娠数 / 年=7