新しい経口避妊薬「スリンダ」ってどんな薬?どこよりも詳しく徹底解説!
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
今回は無料登録で全文読める記事です。メールアドレスをご登録いただくだけで最後まで読むことができます。
このたび、エストロゲンを含まない国内初の経口避妊薬「スリンダ錠28」が承認され、2025年6月30日より販売となりました。40歳以上の方や喫煙者、高血圧・肥満の女性にも使いやすい、新しい避妊の選択肢となります。
本記事では、この新たな経口避妊薬「スリンダ」について、そのメカニズムや副作用、価格、従来の経口避妊薬や「ミニピル」と呼ばれる他のホルモン製剤との違いまで、徹底解説します。
この記事でわかること
-
エストロゲンを含まない避妊薬「ミニピル」のこれまでと作用メカニズム
-
「スリンダ」のエビデンス:避妊効果と副作用
-
血栓症リスクは本当に低いのか
-
ハイリスク女性にとっての意義:40歳以上・喫煙・肥満・高血圧がある場合
-
日本で使える他の「黄体ホルモン製剤」との違い
-
マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
エストロゲンを含まない避妊薬「ミニピル」のこれまでと作用メカニズムとは?
経口避妊薬は、もう何十年も前に世界に登場し、多くの女性が活用してきました。日本でもこれまでに承認されている経口避妊薬は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と合成黄体ホルモン(プロゲスチン)の配合剤です。ただ、「エストロゲン」が、経口避妊薬における血栓症リスクの主因と判明して以降、「エストロゲンが入っていない経口避妊薬」への関心が高まりました。
1968年にメキシコとフランスでクロルマジノン酢酸エステルを含む初のプロゲスチン単剤ピル(ミニピル)が発売されたのが出発点だとされています。その後、さらなる含有ホルモン量の低量化が進み、2020年代にはドロスピレノン(黄体ホルモンの一種)4 mgの製剤として「スリンダ錠28」(以下「スリンダ」)が登場しました。
米国では2019年に「SLYND®」の販売名で、欧州では2019 年に「SLINDA®」の販売名にて製造販売承認を取得し、発売されたので、世界ではすでに販売・使用実績が蓄積された製品になります。
どうやって妊娠を防ぐの?
ミニピルの主成分であるプロゲスチンは、自然の黄体ホルモン(プロゲステロン)と同様に視床下部‐下垂体‐卵巣に作用し、排卵を抑えます。
加えて、
1) 頸管粘液を粘稠化して精子の侵入を阻止
2) 子宮内膜を薄く保ち受精卵の着床を妨げる
3) 一部製剤では卵管運動も低下させる
という複合メカニズムで高い避妊効果を発揮します。
この記事は無料で続きを読めます
- 「スリンダ」の概要とエビデンス:避妊効果と副作用
- ハイリスク女性にとっての意義:40歳以上・喫煙・肥満・高血圧がある場合
- 日本で使える他の「黄体ホルモン製剤」との違いは?
- マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
すでに登録された方はこちら
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績

