緊急避妊薬がついに市販化!制度設計の内容と運用上の要点とは?
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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緊急避妊薬が薬局で購入できるようになることが、2025年8月29日に厚生労働省の専門部会によって了承されました。
本記事では、緊急避妊薬の市販化に向けて、政府資料の構成に沿って要点を整理し、運用時の留意事項をわかりやすく解説します。緊急避妊薬は「誰にとっても関連し得る薬」ですし、「女性の自己決定権」に直結する意義を持っています。適切に理解するための一助になれば嬉しいです。
この記事でわかること
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緊急避妊薬とはどういう薬か
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審査報告書のポイント:入手方法・対象・注意点など
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どのような薬局で購入できるようになるのか
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16歳未満や性被害疑い時の対策はどうなるのか
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調査研究・試験販売の結果を振り返ってわかること
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産婦人科医として今回の方針について思うこと
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
8月29日に、厚生労働省から「薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 資料」として「緊急避妊薬のスイッチOTC化について」という資料が公開されました。今回はこの資料を読み解いていきます。

まず、今回の対象となる緊急避妊薬(「ノルレボ錠」)がどういう薬なのかについて、厚労省の資料で1枚にまとまっていますのでこちらで理解しておきましょう。
(なお、「経口中絶薬」とは全く異なる薬なのでご注意くださいね)

薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 資料「緊急避妊薬のスイッチOTC化について」
なお、これまでの試験販売を含む経緯については、2025年5月時点の以下の記事も参考になるかと思います。
1. 審査報告書のポイント:入手方法・対象・注意点など
まず審査上の要点を振り返ってみましょう。
いくつも大事なポイントはあると思いますが、
①入手方法や服用タイミング
②使用対象
③服用後フォローアップ
の3点が挙げられます。

薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 資料「緊急避妊薬のスイッチOTC化について」
第一に、きちんと避妊ができなかった性交後、できる限り速やかに使用するという医学的観点と、悪用懸念への指摘を踏まえ、「薬剤師の面前での服用(面前服用)」を明記する方針が示されています(「性交後72時間以内に本剤1錠を薬剤師から受け取り、その場で服用する」)。
オンラインでは入手できませんし、購入して持ち帰って服用することはできない、ということですね。
第二に、海外の多くの国や地域で年齢制限がないこと、国内調査で13歳の対象者を含むものの安全性上の懸念が認められていないこと、諸外国での販売実態等から、年齢制限は不要と判断されています。
第三に、服用3週間後の妊娠の有無確認(検査薬使用または医療機関受診)を、すべての購入者への注意喚起として明記しています。情報提供のための資材は直近の調査事業報告書の内容を反映し、販売体制についても十分な体制確保が不可欠だと書かれています。
この記事は無料で続きを読めます
- 2. 承認条件と留意事項:どのような薬局で買えるようになるのか?
- 3. 面前服用は今後もずっと必要なの?
- 4. 16歳未満や性被害疑い時の対策は?
- 5. 薬剤師の研修開始時期と公表:見える化と質の担保
- 6. 調査研究・試験販売の結果:販売数、時間帯、満足度と課題
- 7. 調査研究・試験販売を踏まえた改善点は?
- 8. 産婦人科医として思うこと
- マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
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