出産後に残る心のキズ 〜出産関連PTSDとは〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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出産は、命を生み出すかけがえのない営みであると同時に、ときに非常にストレスの大きい体験でもあります。分娩中の思いがけないトラブルや、痛み、喪失感、サポートの不足などが重なると、その出来事が心に深いキズを残すことがあります。そして、それが「出産トラウマ」となり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という病的な状態にまで発展してしまうケースもあるのです。
本記事では、「出産関連PTSD」とはどのような状態なのか、どんな症状や原因があるのか、そして予防や治療にはどんな方法があるのかを、最新の研究をもとにわかりやすく解説していきます。
この記事でわかること
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出産後に起こる、こころの変化
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出産関連PTSDとはどんなものか
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出産関連PTSDの症状と影響
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出産関連PTSDの原因・リスク要因
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診断と早期発見の現状
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予防と治療の方法
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医療現場・社会における課題と今後の展望
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
出産後に起こる、こころの変化
赤ちゃんを迎えるという出来事は、人生の中でも特に大きな節目のひとつです。喜びや感動に包まれる一方、体の変化や育児のプレッシャー、環境の変化などにより、精神面のバランスを崩すことも珍しくありません。
とくに出産直後の女性は、ホルモンの急激な変動や睡眠不足などの影響を受けやすく、精神的な不調が起こりやすい時期といわれています。
「産後うつ」は広く知られるようになりましたが、出産にまつわる心の不調はそれだけではありません。近年、出産体験そのものが「心のキズ」となり、強い恐怖や不安、フラッシュバック(嫌な記憶が突然よみがえる)などの症状につながる「出産関連PTSD(心的外傷後ストレス障害)」という状態が注目されています。
しかし、出産後に「もう思い出したくない」「夜になると不安で眠れない」「赤ちゃんを見るのがつらい」と感じている方がいても、そのつらさがPTSDによるものだとは気づかれていないことも多くあります(もちろん、そういった全ての辛さがPTSDに該当するというわけではありません)。
心の不調は目に見えにくく、「母親なのだから頑張らなきゃ」と自分を責めてしまう方も少なくないのです。オンライン相談でもそういったご相談は日々たくさん寄せられており、オンラインで話している中で涙を流してしまう女性は少なくありません。
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- 出産関連PTSDとはどんなもの?
- 出産関連PTSDではどんな症状と影響が出る?
- 出産関連PTSDの主なリスク要因とは?
- 診断と早期発見は?
- 予防と治療は?
- 医療現場・社会に何が必要か
- マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
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