トレーニングのアンチエイジング効果 〜肌には有酸素運動と筋トレ、どちらが良い?〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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「年齢を重ねると肌のハリが失われ、シワやたるみが気になる…」と感じる方は多いと思います。年齢とともに老化が進むと、肌の弾力性が失われ、保湿力も低下し、さまざまなダメージを受けやすくなりますよね。
実は、年齢による肌の変化は見た目だけでなく、私たちの健康にも影響します。肌は外からの刺激や感染症から体を守る重要なバリアでもあるので、健康的で若々しい肌を保つことができれば、体全体の健康にも良い影響をもたらします。
今回は、肌を若々しく保つために体を鍛えることはどう役に立つかを、有酸素運動と筋トレを比較しながら、最近の研究とともに解説します。
この記事でわかること
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皮膚の老化と健康への影響
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有酸素トレーニングによるアンチエイジング効果
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筋トレ(レジスタンストレーニング)によるアンチエイジング効果
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肌のアンチエイジングのためには日常生活でどんな工夫がオススメか
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
トレーニングの種類:有酸素とレジスタンス
トレーニングは大きく2種類、有酸素トレーニングとレジスタンストレーニングに分けられます。
有酸素トレーニング(Aerobic Training, AT)は、酸素を使いながら持続的に行う運動で、ジョギングやランニング、サイクリングやエアロビクスなどがあげられます。心拍数を上げることで体全体に酸素が供給され、心肺機能を高める効果があります。
もうひとつはレジスタンストレーニング(Resistance Training, RT)とよばれる、筋肉に負荷をかけて鍛える運動です。ジムでのウェイトトレーニングや自宅での筋トレ(腕立て伏せ、スクワットなど)がこれにあたります。RTは筋力や筋肉量を増やすとともに骨密度を保ち、体を支える力を強化する効果があります。
もちろん、どちらの運動も適度に行うことで健康を維持、増進することにつながりますが、近年の研究によって、これらのトレーニングが肌のアンチエイジング効果も持つことがわかってきました。
皮膚の老化と健康への影響
まず、「皮膚」の機能とその老化について、改めておさらいしてみましょう。
皮膚は、私たちの体の中で最も大きな臓器であり、外部の感染や病気から体を守るバリアの役割を果たしています。しかし、皮膚の機能は単なるバリアにとどまりません。皮膚は外的なストレスや刺激に応じて、ホルモンや神経伝達物質を作り出し、分泌する機能があります。こうした仕組みを通して、皮膚は体内の神経内分泌系とも密接に関わっているのです。
しかし、皮膚も次第に老化してしまいます。これは主に加齢に伴うホルモンの変化や炎症の増加といった内的な要因や、紫外線や大気汚染といった外的な要因に影響を受けて進んでいきます。
内因性(加齢による影響)
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真皮の厚みの減少
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外マトリックス(ECM)が減少し、弾力が低下 -
線維芽細胞の機能低下
皮膚の再生能力が低下し、ECMの産生が減る -
ホルモンの変化
特にエストロゲンの低下により皮膚の弾力や水分保持能力が低下 -
炎症性サイトカインの増加(炎症性老化)
CCL28、CXCL4、N,N-ジメチルグリシンなどの炎症性分子が増加し、ECMの分解を促進
外因性(環境要因)
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紫外線(UV)による光老化
コラーゲンの分解を促進するMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の増加 -
大気汚染による酸化ストレス
スーパーオキシドや過酸化水素といった活性酸素種(ROS)の発生により、皮膚細胞の損傷が加速 -
栄養不足や生活習慣の影響
低タンパク質食や運動不足により、皮膚の再生能力が低下
上記のように、主に皮膚の「細胞外マトリックス(ECM)」が劣化し、真皮が薄くなることで、肌の弾力やハリが失われていき、これがバリア機能の低下にもつながってさまざまな健康リスクにもつながっていってしまうのです。
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