女性のアンダーヘアのVIO脱毛・処理はするべき?産婦人科医目線でのアドバイス
こんにちは。本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
詳細は以下をご覧ください。
この記事でわかること
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アンダーヘアはなんのためにあるのか
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アンダーヘアの処理方法の種類
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国内外におけるVIO脱毛・処理をしている女性の数
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VIO脱毛・処理のメリット
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VIO脱毛・処理のデメリット
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
アンダーヘアってなんのためにあるの?
VIO脱毛・処理について触れる前に、そもそもアンダーヘアってなんのためにあるのか、考えてみましょう。
まず、人間は哺乳類です。この哺乳類という特性上、アンダーヘアは生えていることがそもそも自然なものです。そのような身体学的特性を持つように遺伝子情報が構成されているためです。
アンダーヘアが生えてくる目的はいくつかあります。(現代ではあまり重要とは思えないものもありますが、古来からの身体学的目的として、という意味になります)
①保護
頭や鼻、目の周りの毛と同じように、私たちの身体を保護することが1つ目の目的です。アンダーヘアは、外陰部の皮膚の温度を保ち、保湿します。また、性行為の際の摩擦からデリケートな皮膚を保護することにも役立ちます。加えて、感染症を防ぐために、腟にほこりや汚れ、細菌がなるべく入らないようにしています。
②フェロモンの拡散
フェロモンは化学物質で、他の人に対して無意識のレベルで性的魅力に関する情報を伝達する役割を果たします。フェロモンは主に汗とともに分泌され、アンダーヘアはこのフェロモンをキャッチして周囲に拡散する役割を果たすと考えられています。
アンダーヘアの処理方法の種類
アンダーヘアの処理方法は脱毛だけではありません (1)。
①トリミング(Trimming)
トリミングは、皮膚より少し離れた部分で毛を短くする方法です。皮膚のキズや感染につながる可能性がほぼなく、安全性は最も高いと言えます。ハサミやアンダーヘア用に販売されているトリミングツールを使うことが一般的です。
感染のリスクが低いので、糖尿病や化学療法など、医学的な理由で感染に注意が必要な人にはトリミングが推奨されます。
②剃る(Shaving)
皮膚に近い部分でアンダーヘアを剃る方法です。特に敏感な肌の場合には、傷付いてかぶれや感染を引き起こす可能性があるため、誰にでもお勧めできるものではありません。カミソリで剃る場合は、毎回新しいものを使いましょう。できれば毛の生えている方向に剃ることで皮膚への刺激を抑えられますが、実際は難しいことも多いです。
熱で毛を切る「ヒートカッター」タイプのシェーバーを使うと、カミソリで切るよりもチクチクしにくい仕上がりが期待できます。
③ワックス脱毛(Waxing)
熱いワックスで、毛を根元からすべて抜き取る脱毛方法です。一気に処理できて1〜数週間は効果が持続しやすいというメリットがありますが、けっこうな痛みを伴うこともあります。火傷や皮膚への刺激、目に見えない小さな傷のリスクもあります。
ワックス脱毛をする場合は、できるだけ経験豊富な医師のいるクリニック等で受けることをお勧めします。妊娠中に絶対NGというわけではありませんが、普段よりも皮膚がより敏感になっているため、傷つきやすい可能性があります。
④レーザー脱毛(Laser hair removal)
レーザーを使って毛根を壊すことで脱毛します。最も費用のかかる脱毛方法であり、医師の管理下のもとで数回の処理が必要です。効果は永久的ではありませんが、回数を重ねるごとに成長する毛の量を減らすことが期待できます。
医師の管理下で適切に実施すれば一般的に安全ですが、終わった後に数日間腫れたり赤くなったりすることがあります。
妊娠中の実施については大規模な研究がありません。絶対にNGというわけではありませんが、妊娠中の肌は普段より傷つきやすい可能性があるので注意が必要です。クリニックによっては妊婦さんには実施していないところも少なくありません。
⑤脱毛クリーム(Depilatory creams)
毛を溶かすタイプのクリームです。これらのクリームに含まれる化学物質は性器の皮膚や粘膜にかなり強い刺激を与える可能性があるため、アンダーヘアにはお勧めできません。