人によって生まれやすい子どもの性別がある?気になる最新の研究結果
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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これまで、赤ちゃんの性別は「産まれるまで分からないコイントス(=男女どちらかはほぼ完全なる偶然)」と考えられてきましたが、最新の大規模研究は“家族ごとに少しだけ偏ったコイン”の存在を示しました。
今回はこの論文を紐解き、母体年齢や遺伝子が影響し得る可能性も含め、新たな知見をわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
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これまで報告されてきた出生時の性別に関するデータ
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最新の研究でわかってきた「家庭による子どもの性別の偏り」
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子どもの性別に影響する要因と生物学的メカニズム
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この研究結果をどう解釈すれば良いのか
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産み分けって結局できるの?
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
“コイントス理論”は本当か?研究が挑んだ素朴な疑問
私たちは “赤ちゃんの性別は1/2の確率で決まる” 、つまり受精時に X 染色体か Y 染色体を持つ精子が偶然選ばれる、と思っています。実際に、過去の研究報告では、どのような妊娠でも男児が生まれる確率は約51%で、この確率はほぼ一定であり、上の兄弟・姉妹の性別や親の年齢には影響されないと報告されてきました。(文献1,2)
ところが 「なぜか男の子(あるいは女の子)ばかり生まれる家族」が身近に存在するのも事実ですよね。実際、今回紹介する研究論文(文献3)の著者ら自身も、複数の同僚や親族で“同一性別のきょうだい”が続くケースがあり、本当に偶然なのか疑問を抱いたと記しています。
この疑問を科学的に確かめるため、研究チームは米国の看護師コホート(研究用の大規模集団)に登録された約5万8千人、14万件超の出産記録 を解析し、「家族ごとに本当に“コインの重み”は同じなのか?」を統計学的に検証しました。
結果はなんと、家族単位でみると性別の確率は完全なランダム(=50:50)ではなく、母親によって傾向に違いがある可能性が示されたのです。
ここがポイント (まとめ)
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コイントス理論の前提 受精時の性別は 男女=ほぼ50:50 で、各妊娠で独立している(=従来の理解)
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実際の違和感
同一性別きょうだいが連続する家族は「偶然」と片づけられないのでは? -
今回の研究方法
5万人超の縦断データで「本当に 50:50 か」を検証 -
見えてきた新事実
家族ごとに性別の出やすさが微妙に異なり、完全な"コイントス"ではなかった。
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績

