40歳未満で閉経?「早発卵巣不全」について詳しく解説
今回は早発卵巣不全について、最新のガイドラインも踏まえて詳しく解説します。
この記事でわかること
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早発卵巣不全とはどんな病気か
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早発卵巣不全の原因
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どんな人がなりやすいか
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どんな症状が出るのか
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注意すべきサインは何か
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妊娠への影響と、妊娠したい場合どうすれば良いか
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すぐに妊娠したいわけではない場合の対処法
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マイオピニオン(私個人の考えや意見)
早発卵巣不全とは?
「40歳未満で卵巣機能が低下して無月経(月経が3ヶ月以上無い状態)となった状態」を指します (1)。英語ではPremature ovarian insufficiency (POI)やPremature ovarian failure (POF)と呼ばれます。
通常であれば月経は25〜38日周期で定期的に訪れ、閉経に至る平均年齢はおよそ50〜51歳でその前後数年間が更年期です。
このため、40歳未満で卵巣機能が低下して(=女性ホルモンの分泌が低下して)月経が止まってしまうというのは、かなり異常なことというのがお分かりになるかと思います。
発症頻度はそこまで高くなく、100人に約1人の割合とされています (1)。30歳未満の女性では0.1%、40歳未満の女性では1%という報告もあります。
でも、1%というのは決して「ほとんど自分には関係ない」とは思えない頻度かもしれません。
なお、2023年8月に刊行されたばかりの最新の産婦人科診療ガイドラインでは、「40歳未満で、4ヶ月以上の無月経があり、ゴナドトロピン値が高くエストロゲン値が低い状態」という定義を用いています (2)。
具体的には、卵巣の中にある「卵胞」という「卵子を包む袋」が枯渇してしまっている状態です。(下図の左側の子宮・卵巣のイラストで、向かって右側の卵巣がその状態です)
https://www.mdpi.com/1422-0067/24/5/4423
早発卵巣不全の原因は?どんな人がなりやすい?
病因は不明のことが多いですが、以下のようなものが原因になると考えられています (2)。
家族性の発症や遺伝子異常が原因のこともあり、一部に遺伝するものもありますが、早発卵巣不全の多くは遺伝性ではないとされています。
<疾患>
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家族性の発症
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自己免疫性疾患(甲状腺機能異常、糖尿病、全身性エリテマトーデス[SLE]など)
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ホルモン産生性の卵巣腫瘍
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ガラクトース血症
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卵胞刺激ホルモン受容体異常
<外部要因>
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卵巣の手術(卵巣への血流が減少する)
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がんへの化学療法や放射線療法
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免疫抑制剤の使用
<その他>
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遺伝子異常
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染色体異常
また、喫煙も卵巣機能の低下を招くため注意が必要です (1)。