性教育シリーズ③ 〜好きな人とは必ず性行為するの?〜

最近では性教育に注目が集まりつつあり、書籍やネット記事も増えてきています。でも、まだまだ「性教育って何したらいいかわからない」「自然に覚えていくものでは?」と思っている人もいるのではないでしょうか。
性教育シリーズの第3回目として、今回は子どもに「好きな人とは必ず性行為するの?」と聞かれた場合の答え方を考えていきましょう。
重見大介 2023.11.18
読者限定

本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

今回は無料登録で全文読める記事です。メールアドレスをご登録いただくだけで最後まで読むことができます。

なお、一部の記事(より専門的なもの、私自身の思いを語るものなど)は、サポートメンバー(有料登録読者)に限定してお届けします。サポートメンバー登録いただくと過去の全ての記事を読めるだけでなく、スレッドでの意見交換や、オンライン交流イベントにご参加いただけます。本ニュースレター継続の励みにもなりますので、ご登録いただけると大変嬉しいです。詳細はこちらをご覧ください。

***

この記事でわかること

  • 「包括的性教育」とはどういうものか

  • 伝えるときのポイント(1) 感情と行動の区別

  • 伝えるときのポイント(2) 同意の大切さ

  • 伝えるときのポイント(3) 性行為に伴う危険性

  • 伝えるときのポイント(4) 信頼できる大人への相談

  • 具体的な答え方の例(8〜15歳くらいの子どもに聞かれた場合を想定)

  • NGな回答例

***

「包括的性教育」のおさらい

日本で多くの人がイメージする「性教育」は、「性に関する知識やスキル」として、妊娠・出産の仕組みや避妊、性感染症予防を教える(学ぶ)ことかもしれません。

しかし、「包括的性教育」はこれとは異なる概念です。国際的に広く認知・推進されている、「性に関する知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性、幸福を学ぶ」ための重要な概念なのです。英語ではcomprehensive sexuality education (CSE) などと表現されます。

詳細は以前の記事にまとめたので、まだ読んでないという方はぜひ先にご覧ください。

今回のテーマは、子どもに「好きな人とは必ず性行為するの?」と聞かれた際の答え方です。きっと多くの保護者の方が「恋愛はそれなりにしてほしいけど、性行為に進むのは不安だ」と思っているのではないでしょうか。

なお、今回は小中学生(8〜15歳)くらいの年代の子どもからの質問を想定しています。では、まず4つのポイントをお伝えしていきます。そして最後に回答例を紹介します。

ポイント(1) 感情と行動の区別

「好き」という感情は自然なもので素敵なものですが、それに基づいてすぐに性的な行動をとる必要はありません。感情を抱くことと、それに基づいて行動することは異なるし、そうしなきゃいけないものでもないことをしっかり伝えましょう。

この年代の子どもには、感情のコントロールと適切な行動の選択の重要性を教えることが大切です。

ポイント(2) 同意の大切さ

どんな関係でも、相手の同意なしに性的な行動をとることは許されません。相手の感情や意志を尊重し、自分の行動が相手にどのような影響を与えるかを考えることが大切です。

これを通じて、「お互いを尊重する」気持ちを育むことができます。

ポイント(3) 性行為に伴う危険性

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1909文字あります。
  • ポイント(4) 信頼できる大人への相談
  • 具体的な答え方の例

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

サポートメンバー限定
性教育シリーズ(7) 〜デジタルネイティブ時代の注意点〜
読者限定
日本の性教育はなぜ遅れている?産婦人科医と臨床心理士が語る、家庭の性教...
サポートメンバー限定
未来の産婦人科医療を妄想してみる(4) 〜妊娠・出産編〜
サポートメンバー限定
妊娠・出産による女性の脳の形と機能の変化とは 〜驚きの研究結果と育児へ...
読者限定
「ミニピル」ってどんな薬?通常の経口避妊薬との違いや日本の現状を解説
サポートメンバー限定
産婦人科医・宋美玄先生との対談(3) 〜過去の炎上経験とぶっちゃけ裏話...
サポートメンバー限定
SNSでの「産婦人科叩き」について思うこと
読者限定
産婦人科医・宋美玄先生との対談(2) 〜出産の保険適用化についてぶっち...