男性の年齢が妊娠に与える影響とは? 〜胎児の先天異常と出生後の発達や健康について〜

妊娠率や流産率に最も大きな影響を与えるのは「女性の年齢」であり、こうした情報は近年よく知られるようになってきています。一方で、男性の年齢がどのような影響を与えるのかどうかについては、あまり詳しく聞いたことないという人が多いのではないでしょうか。
今回は、男性の年齢が「胎児の先天異常」と「出生後の発達や健康状態」に与える影響について詳しく解説します。
重見大介 2024.01.02
読者限定

加齢による男性の生殖能力の変化や、男性の年齢が妊娠率と妊娠中の合併症(流産、胎児発育不全、早産など)に与える影響については、こちら(前回)の記事をご覧ください。

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この記事でわかること

  • 胎児の先天異常について男性の年齢が与える影響

  • 生まれた子どもの認知能力について男性の年齢が与える影響

  • 生まれた子どもの自閉スペクトラム症(ASD)について男性の年齢が与える影響

  • 生まれた子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)について男性の年齢が与える影響

  • 生まれた子どものがん(悪性腫瘍)について男性の年齢が与える影響

  • マイオピニオン(私個人の考えや意見)

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男性の年齢が与える影響:胎児の先天異常

女性の年齢が上がることで、赤ちゃんの先天異常(生まれつきの異常)が増えることはよく知られており、例えばダウン症候群(21トリソミー)の発生率は、20代女性に比べて40代女性では10倍ほどに高くなります。

では、男性側の年齢の影響はあるのでしょうか?
これまでの研究では、一部の先天異常(例:神経管欠損、心臓の疾患、四肢欠損)や腫瘍性疾患(例:ウィルムス腫瘍)が高齢の男性でわずかに増加することが報告されています。(文献1-3)

500万件以上の出生データを分析した2007年の研究を一つ紹介します。全体で1.5%の出生児に先天異常が観察され、これを男性パートナーの年齢別に分類すると、25〜29歳の男性と比較した場合の30〜35歳、40〜44歳、45〜49歳、50歳以上の男性の出生児ではいずれも高い頻度となり、年齢が高いほどその影響は大きいものとなっていました。ただし、影響の大きさ自体は、女性の年齢の影響に比べると非常に小さなものでした。(文献4)

以上から、高年齢の男性の子どもではわずかに先天異常のリスクが増加すると考えられますが、その影響の程度は大きいものではなく、女性の年齢による影響の数十分の一から数百分の一くらいだと言えるでしょう。(とはいえ、男性の年齢も無関係ではないことは知っておくべきです)

男性の年齢が与える影響:出生後の発達や健康状態

結論から書きますと、男性の高年齢が出生した子どもの発達や長期的な健康状態と関連していることが研究で報告されていますが、影響の大きさはかなり小さいというのが科学的な評価となっています。

以下に、いくつかの項目について詳しく述べます。

認知能力

米国の33,000人以上の子どもを対象にした研究では、複数のテストやスケールで評価された出生児の認知機能について、父親の高年齢がわずかな悪影響を及ぼすことが示されています。(文献5)

ただ、関連性がなかったとする研究も複数あり、まだ国際的に答えが確立されていないと考える方が妥当でしょう。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症とは、「言葉や、言葉以外の方法、例えば、表情、視線、身振りなどから相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが不得手である、特定のことに強い興味や関心を持っていたり、こだわり行動があるといったことによって特徴付けられるもの」とされています。(国立精神・神経医療研究センター病院のウェブサイトを参照)

なお、これは脳の働きによって起こるもので、親の子育てが原因で生じるものではないので誤解しないでくださいね。

これまでの研究では、男性の高年齢がASDのリスク増加と小さいながら統計的に有意な関連があると報告されています。
例えば、27個の観察研究を対象としたメタ分析では、父親の年齢が10歳上がるごとに子どものASDリスクが相対的に21%増加するとされています。(文献6)
オランダの14,000人以上の患者を対象とした研究では、20歳未満の父親と比較して、40歳以上の父親が子どもをもうけた場合、その子がASDを持つ可能性がおよそ3.3倍になると示されています。(文献7)

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

注意欠陥・多動性障害は、「発達水準からみて不相応に注意を持続させることが困難であったり、順序立てて行動することが苦手であったり、落ち着きがない、待てない、行動の抑制が困難であるなどといった特徴が持続的に認められ、そのために日常生活に困難が起こっている状態」とされています。(国立精神・神経医療研究センター病院のウェブサイトを参照)

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