必見!実は知らない、痛み止めの豆知識 〜薬剤師が教える「痛み止めの選び方と使い分け」〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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日常生活において、頭痛、生理痛、腰痛や筋肉痛など、痛みを感じる場面は少なくありません。特に10~50代の女性にとっては、生理痛や片頭痛、肩こりや腰痛など、日常的な痛みが悩みの種となることが多いでしょう。
こうした痛みを和らげるために、多くの人が痛み止め(鎮痛薬)に頼っていますが、実際にその選び方や使い分けについては、意外と知られていない部分も多いのではないでしょうか。
今回は、薬剤師の友人にお力添えいただき、痛み止めの基礎知識、お薬ごとの違い、効果的な使い分け、さらに使用時の注意点について詳しく解説してもらいました。
この記事でわかること
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痛み止めの基本:どんな種類があるのか(NSAIDsとアセトアミノフェンの特徴や違い)
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痛み止めの選び方:症状に合わせた使い分けのコツ(頭痛、)
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痛み止めの使い方:より効果的に使うためのポイント
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自分に合った痛み止めを見つけるためのポイント
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痛み止めの代替手段の活用法
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マイオピニオン(私個人の考えや意見)
今回説明してもらった薬剤師の友人
今回は、大学院時代の同級生の友人(熊澤良祐:くまさん)と飲んでいた時に、この企画(薬について正しく役にたつ情報を多くの人にもっと伝えよう!)を思いついたのが発端です。
その友人とは大学院博士課程で同期であり、お互いに助け合ったり切磋琢磨しながら博士課程を乗り切った間柄です。今は明治薬科大学 公衆衛生・疫学研究室で助教の仕事をしていて、大学院(公衆衛生分野:臨床疫学)での学びをしっかり活かし、薬剤師かつ医学博士として出せるバリューを社会に還元しています。
まず取り上げたテーマは「痛み止め」です。
やはり、月経という現象があるため、女性は日頃から痛み止めを使う機会のある方が多いと思います。産婦人科医としても、ちゃんと隠れた疾患や状態の把握をした上で、対症療法としての痛み止めを勧めたり処方したりすることは多いです。
しかし、実はそんな「痛み止め」も奥が深い。皆さんもまだまだ知らない「症状に合わせた使い分けのコツ」「より効果的に使うためのポイント」があるはずです。
今回は全女性(+痛みをどうにかしたい全ての人)必見の内容ですので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
痛み止めの基本:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)について
日常生活においてよく使われる痛み止めには大きく分けて、NSAIDs(エヌセイズ, 非ステロイド性抗炎症薬)とアセトアミノフェンの2つがあります。
これらのお薬は、それぞれ作用機序が異なり、有効な痛みのタイプが異なります。痛みの原因やタイプに応じて、適切なお薬を選ぶことが大切です。
まずは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)について解説していきましょう。
NSAIDsは、痛みを和らげたり炎症を抑えたりするお薬の総称です。痛みや炎症の原因となるプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで、鎮痛、解熱、抗炎症作用を示します。次に出てくる「アセトアミノフェン」に比べて解熱鎮痛効果が強く、胃への副作用が出やすいです。また、15歳未満で使用できる市販薬がありません。
代表的なNSAIDsには以下のものがあります。
・ロキソプロフェン
ロキソプロフェンは、日本で非常によく使用されている痛み止めです。そのため、頭痛、腰痛、歯痛などさまざまな痛みに使用され、鎮痛効果が強いことも特徴です。ロキソプロフェンは、使用後30分ほどで効果が現れます。もし痛みが続くようであれば、6時間ほど空けてから使用してください。ロキソプロフェンが含まれた市販薬(飲み薬)は、第1類医薬品です。そのため、薬剤師によるお薬の情報提供を受けた後に購入することができます。薬剤師が不在の場合は、購入することができません。
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ロキソプロフェンのみ:ロキソニンS、ロキソプロフェン錠など
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ロキソプロフェン+その他の成分:ロキソニンSプラス、ロキソニンSプレミアムな ど
・イブプロフェン
イブプロフェンは、主に頭痛、生理痛、関節痛、筋肉痛など、幅広い痛みに使用され、服用してから2時間ほどで効果が現れます。もし痛みが続くようであれば、6時間ほど空けてから使用してください。イブプロフェンが含まれた市販薬は、第2類医薬品です。そのため、薬剤師だけではなく、登録販売者からも購入することができます。
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イブプロフェンのみ:リングルアイビーなど
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イブプロフェン+その他のNSAIDs:ナロンエースTなど
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イブプロフェン+その他の成分:イブA錠、ノーシンピュアなど
・アスピリン
アスピリンはNSAIDsの1つで、痛みや発熱を抑える作用に加えて、血栓を予防する抗血小板作用も示します。そのため、心筋梗塞や脳卒中の予防にも使用されることがあります。一般的には、軽度から中等度の痛みや発熱に対して使用されますが、胃腸への負担が大きく、特に空腹時の服用には注意が必要です。アスピリンは服用後4時間ほどで効果が現れます。
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アスピリンのみ:バイエルアスピリン
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アスピリン+その他の成分:バファリンA、ケロリンなど
これらのNSAIDsは、炎症を伴う痛みに特に効果的ですが、胃腸への負担が大きいため、空腹時の服用や長期間の使用は避けるべきです。薬剤師としても、NSAIDsを使用する際には食後に服用することをお勧めしています。胃腸に持病や胃炎などの症状がある方や長期間の服用を予定している方は、胃を保護するお薬(例えばセルベール整胃錠、スクラート胃腸薬Sなどの胃粘膜保護薬)を併用することもご検討ください。
また、アスピリンをはじめとするNSAIDs全般に過敏な体質の喘息患者さんは、非常に強い喘息症状と鼻症状を引き起こすアスピリン喘息を発症しやすいです。特に20〜40歳代の女性が発症しやすいとの報告がありますのでご注意くださいね。
この記事は無料で続きを読めます
- 痛み止めの基本:アセトアミノフェンについて
- 痛み止めの選び方:症状に合わせた使い分け
- 痛み止めの使い方:より効果的に使うためのポイント
- 自分に合った痛み止めを見つけるために
- 痛み止めの代替手段も考慮しよう
- マイオピニオン(私個人の考えや意見)
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