性教育シリーズ(10) 〜マイクロアグレッション〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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何げない一言や態度が、相手の心に小さな傷を残すことがあります。これがマイクロアグレッションです。長く続けば不安や自尊感情の低下を招き、相手を知らずに傷付けてしまいますし、人間関係にもヒビが入ってしまいます。
今回は性教育シリーズの第10回目として、産婦人科医の視点も交え、ジェンダーやSOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)の多様性を尊重しながら、子どもたちが安心して学び合える環境をつくる方法をお伝えします。実際に小中学生くらいのお子さんに伝える際の具体例もお届けします。
また、ご自身にとっても振り返る良い機会になれば嬉しいです。
この記事でわかること
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「マイクロアグレッション」とはどういうものか
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マイクロアグレッションはなぜ起こるのか
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ジェンダー・SOGIにまつわる無意識のひと言の具体例
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社会においてよくあるマイクロアグレッションとは
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マイクロアグレッションによる仕事や家庭でのトラブル
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子どもに説明する際の具体例
マイクロアグレッションって何? “意図”と“影響”のギャップを理解しよう
「マイクロアグレッション」とは、悪気がない一言や態度が相手に差別的な痛みを与える現象のことです。主に、以下の3つが含まれます。
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相手を傷つけることを意図的に繰り返す攻撃的な言動や態度のような「マイクロアサルト」(microassault)
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「日本語上手ですね」(相手の能力を無意識に低く見積もっていることの表れ)などの「マイクロインサルト」(microinsult)
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「生理痛はみんなあるし、君も頑張って」(相手の感情や経験を無視したり、否定したり、無価値なものとして扱う言動)といった「マイクロインバリデーション」(microinvalidation)
一回一回の影響は小さく見えても、日々積もると不安・抑うつ・自己肯定感低下など健康への影響が蓄積し、学習や仕事のパフォーマンスにも波及します。まずは“自分の意図”と“相手への影響”が必ずしも一致しないことを理解し、相手がどう感じたかに注目する姿勢が、きちんと考えるためのスタートラインです。
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