性教育シリーズ(5) 〜性的同意〜
最近では性教育に注目が集まりつつあり、書籍やネット記事も増えてきています。でも、まだまだ「性教育って何したらいいかわからない」「自然に覚えていくものでは?」と思っている人もいるのではないでしょうか。
性教育シリーズの第5回目として、今回は自分も相手も守るために重要な「性的同意」について考えていきましょう。
この記事でわかること
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「包括的性教育」とはどういうものか
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「性的同意」とはどういうものか
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「性的同意」の重要性
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不同意わいせつ罪・不同意性交等罪の施行について
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伝えるときのポイント(1) 同意の意味を理解する
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伝えるときのポイント(2) 境界を意識して相互に尊重する
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伝えるときのポイント(3) 嫌なときは嫌だと言って良い
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伝えるときのポイント(4) 性行為に伴う危険性や注意点も知っておく
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具体的な伝え方の例
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NGな伝え方の例
「包括的性教育」のおさらい
日本で多くの人がイメージする「性教育」は、「性に関する知識やスキル」として、妊娠・出産の仕組みや避妊、性感染症予防を教える(学ぶ)ことかもしれません。
しかし、「包括的性教育」はこれとは異なる概念です。国際的に広く認知・推進されている、「性に関する知識やスキルだけでなく、人権やジェンダー観、多様性、幸福を学ぶ」ための重要な概念なのです。英語ではcomprehensive sexuality education (CSE) などと表現されます。
詳細は以前の記事にまとめたので、まだ読んでないという方はぜひ先にご覧ください。
「性的同意」とは?
性的同意とは、他者と性行為する意思を明確に、自由意志で表明することを意味します。
性行為をする両者(または複数)の当事者間で合意していることが必要であり、明白な「はい(YES)」という意思表示が必須です。こうした同意は、性行為を通じて取られるコミュニケーションの一つのプロセスであるため、性行為を始める前に確認することはもちろん、始めた後にも継続的に(例えば、次はxxしてほしいけどいいかな?、xxしてみない?、など)確認する必要があります。
さらに、人が正常に同意できる状態にないとき(例えば、アルコールや薬物の影響下にある場合や、恐怖心を持っている場合など)では、たとえ「はい(YES)」と言われたとしてもきちんと同意を得たものとはみなされません。
つまり、「誰かと性行為をする際に、性的同意についてきちんと知っておかないと、自分や相手が傷つくことになり得て、それが性被害・性加害として大きな問題につながる可能性がある」ということになります。成人する頃に知ればいいもの、では全くないんですね。
なお、もし性的同意を確認しようとして断られても、それは「嫌い」ということとイコールではありません。もちろんパワハラやセクハラに該当する場合が別ですが、お互いに好きどうしでも「今はまだ同意できない」「その行為は嫌だな」ということはあります。この辺のことも、きちんと子どもに伝えておかないと良好なパートナーシップを築く上で支障をきたしてしまうかもしれないですね。