【後編】遺伝子や染色体に関する生まれつきの病気って?〜基礎から具体例まで徹底解説〜

妊娠すると、赤ちゃんの遺伝子や染色体に関する生まれつきの病気や、出生前検査/診断について不安・疑問に思う人も少なくないでしょう。
今回は遺伝子や染色体に関する生まれつきの病気について解説します。後編では、遺伝性疾患を持って生まれるリスクや遺伝カウンセリング、出生前検査などを解説します。
重見大介 2023.07.10
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この記事でわかること

  • 遺伝性疾患が子どもに起こるリスクが高まるのはどのような場合か

  • 遺伝カウンセリングとはどういうものか

  • 遺伝カウンセリングを行っている施設を探す方法

  • 出生前検査にはどのような種類があるのか

  • スクリーニング検査とはどういうものか

  • 確定的検査とはどういうものか

  • 新型出生前遺伝学的検査(NIPT)についての詳細

  • 出生前検査は受けるべきなのか

  • マイオピニオン(総合的な私の意見・考え)

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前回の振り返り

前編の記事では

  • 遺伝性疾患とは

  • 遺伝子とは

  • 染色体とは

  • 染色体異常とは

  • 遺伝性疾患の種類

などを解説しました。
ダウン症などよく耳にする疾患から、非常に稀な疾患まで、遺伝性疾患には多くの種類があることがお分かりになったことと思います。

今回は、より皆さんに関係の深い話として、遺伝性疾患を持って生まれるリスクや遺伝カウンセリング、出生前検査などを解説していきます。

赤ちゃんが遺伝性疾患を持つリスクはどう上がるの?

実際には、遺伝性疾患を持つ赤ちゃんの多くは「特定のリスク因子がないカップル」から生まれてきます。しかし、カップルのどちらかまたは一方が特定の因子を持っている場合には、それに応じてリスクは高まります。

例えば、次の場合に遺伝性疾患が生じるリスクが高まります。

  • 親自身が遺伝性疾患を持っている

  • 既に遺伝性疾患を持つ子どもを産んだ経験がある

  • 家系に遺伝性疾患がある

また、特定の民族や人種によって発症頻度に差がある疾患もあります。例えば、「嚢胞性線維症」は白人に多く、「マルファン症候群」は国や人種で頻度に差がないと言われています。

なお、最も代表的な染色体異常である「ダウン症候群(21トリソミー)」は、母親の年齢が上がるほど発症リスクが上がります。40歳時点(およそ1%=100人に1人)では25歳(およそ0.08%=1250人に1人)と比べて約10倍の発症頻度となります。

遺伝カウンセリングについて

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続きは、2730文字あります。
  • 出生前検査にはどのような種類がある?
  • 出生前検査は受けるべき?
  • マイオピニオン(私の意見・考え)

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