【前編】遺伝子や染色体に関する生まれつきの病気って?〜基礎から具体例まで徹底解説〜
今回は遺伝子や染色体に関する生まれつきの病気について解説します。前編では、用語の解説が中心です。改めて正しい理解をしておきましょう。
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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この記事でわかること
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遺伝性疾患とはどういうものか
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遺伝子と染色体について
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両親の染色体がどう子どもに受け継がれるのか
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染色体異常とはどんなものか、代表的な疾患とは
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妊婦の年齢が上がると、子どもが染色体異常を持つ確率はどのくらい高まるのか
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遺伝性疾患とはどんなものか、その種類
遺伝性疾患とは?
遺伝性疾患とは、遺伝子や染色体の変化によって引き起こされる疾患のことを指します。遺伝性疾患は、生まれつきの身体的な問題や知能の遅れを引き起こすことがあります。これらは、生まれつきの病気を意味する「先天性疾患」の一種です。遺伝性疾患は、子どもがある程度成長してから初めてみつかることもあります。
何らかの生まれつきの病気を持って生まれる赤ちゃんは全体の約5%とされています。
遺伝カウンセリングやスクリーニング検査を通じて、お腹の中の赤ちゃんが特定の遺伝性疾患を持っているリスク(確率)を調べることができます。最終的に、確定的検査を受けることで、赤ちゃんが特定の遺伝性疾患を持っているかどうかを判断することができます。
今回は、米国産科婦人科学会(ACOG)の解説ページ(FAQ. Genetic Disorders and Pregnancy)を参考に、基礎からわかりやすく説明していきます。
遺伝子、染色体ってなに?
遺伝子
遺伝物質であるDNAの構成要素です。各遺伝子は、私たちの身体の見た目や機能の一部をコントロールしています。遺伝子は一対で存在しています。
染色体
細胞の中に存在する、遺伝子を運ぶ構造体のことです。染色体もまた一対で存在します。大部分の細胞は23対の染色体(=合計46本)を持っています。精子と卵子の細胞はそれぞれ23本の染色体を持っています。
受精、つまり卵子と精子が結合するときに、2組の染色体が合わさります。これにより、赤ちゃんの遺伝子の半分は母親から、半分は父親から受け継がれることになります。
赤ちゃんの性別は性染色体によって決まります。性染色体はXとYの2つあります。卵子はX染色体のみを含み、精子はX染色体またはY染色体を持っています。基本的に、XXの組み合わせでは女の子が、XYの組み合わせでは男の子が生まれます。