ロボット手術ってどんなもの? 〜近年の最新技術と未来像とは〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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近年、医療の現場で注目を集めている「ロボット手術」。名前を聞くと、人間に代わってロボットが手術を行う未来の医療を想像するかもしれません。しかし、実際には熟練した医師がロボットを操作し、精密な手術を行う技術です。この革新的な手術方法は、産婦人科の分野でも活躍の場を広げています。
本記事では、ロボット手術の基本から、どのように活用されているのか、そのメリットと今後の可能性についてわかりやすくご紹介します。
この記事でわかること
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ロボット手術はどのように行われるのか
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ロボット手術が選ばれる理由やメリット
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産婦人科でのロボット手術の応用事例
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日本でロボット手術が保険適用されている婦人科疾患
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ロボット手術の安全性
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将来、ロボット手術がどのように医療を変えていくのか
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日本で開発された手術支援ロボット
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マイオピニオン(私個人の考えや意見)
ロボット手術って本当にロボットが手術するの?
「ロボット手術」という言葉を聞くと、多くの方がSF映画のように、ロボットが自動で手術を行う場面を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際のロボット手術は少し異なります。ここでいう「ロボット」とは、あくまで医師が操作する精密な医療機器を指します。言い換えれば、ロボットは医師の「手の延長」として働いているのです。(つまり、本記事のアイキャッチ画像とは違うよ、ということですね)
ロボット手術の代表的なシステムとして、「ダヴィンチ」(Da Vinci)と呼ばれる製品があります。このシステムでは、医師が操作するコンソールと呼ばれる装置と、患者の体に挿入されたロボットアームが連携して動作します。医師はコンソールに座り、手元のコントローラーを使ってロボットアームを操作します。これにより、医師は通常の手術では難しい細かい動きや、微小な部位での操作を可能にします。これが、ロボット手術の最大の強みの一つです。
ロボットアームの部分。ダヴィンチ公式ウェブサイトより https://www.intuitive.com/ja-jp/products-and-services/da-vinci/systems/sp
医師は手元のコントローラーでロボットアームを少し離れたところで操作する。ダヴィンチ公式ウェブサイトより https://www.intuitive.com/ja-jp/products-and-services/da-vinci/systems/sp
また、ロボット手術は、通常の手術と比べて小さな傷口で済みます。これは、カメラを通じて高解像度の映像を医師が確認しながら手術を進めるためで、より精確に手術を行うことができるためです(この点は、腹腔鏡手術 [人間の術者が、身体に小さく開けた穴から細い器具を挿入して手術をする方法]と類似しています)。さらに、ロボットアームは人間の手や腹腔鏡手術にはない「手ぶれ防止機能」が備わっており、極めて安定した操作が可能です。
つまり、ロボットはあくまで医師が操作するツールであり、最終的な判断や操作は全て医師の手に委ねられています。ロボット手術は、医師が持つ技術と経験を最大限に活かすための手段であり、従来の手術方法に比べて患者さんにとっても多くのメリットがある新しい手術技術と言えるでしょう。
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- なぜロボット手術が選ばれる?そのメリットとは
- 産婦人科でのロボット手術の応用事例とは?
- 日本でロボット手術が保険適用されている婦人科疾患
- ロボット手術の安全性は?注意点はある?
- 将来、ロボット手術がどのように医療を変えていくの?
- 日本で開発された手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」
- マイオピニオン(私個人の考えや意見)
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