経口中絶薬が承認へ、実際のメリットや注意点は?
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経口中絶薬が薬事承認へ
2023年1月27日、経口中絶薬が厚生労働省の部会によって薬事承認を了承されました。今後、パブリックコメント募集したのちに、早ければ2023年春にも正式承認される見通しとなっています。
これにより、これまで日本では人工妊娠中絶の手段として「手術」しかなかったところへ、「飲み薬」という選択肢が新たに加わることになります。
妊娠して63日以内の女性が対象となり、1つ目の錠剤を服用して36〜48時間後に2つ目の錠剤を服用することで、子宮収縮を促し中絶ができるという薬剤です。
なお、厚労省の吉田易範・医薬品審査管理課長は1/27の部会後の記者説明会で「患者は入院または2回受診して2剤とも院内で服用し、2剤目服用後は入院または院内待機することになる」と説明しました。
(*こうした管理方法も含めて、2/1~2/28の期間にパブリックコメントで意見を募る予定となっています。)
中絶薬は世界保健機関(WHO)が推奨する中絶方法の一つで、1988年にフランスで推奨されて以降、80か国以上で承認されています。なお、米国では中絶処置の中で薬剤が全体の約4〜5割、英国では約7割を占めています。また、英国では薬剤による中絶処置のうち約4割が自宅での服用となっています。
女性にとってのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の向上に繋がる新たな選択肢として大きな期待が寄せられる経口中絶薬ですが、決して「魔法の薬」ではありません。
そのメリットや注意点、使用する場合に実際に起こりうる状況などをきちんと把握し、「手術」と「飲み薬」のどちらにするか適切に判断していくことが望ましいでしょう。