経口中絶薬が承認へ、実際のメリットや注意点は?

2023年1月27日、経口中絶薬が厚生労働省の部会によって薬事承認を了承されました。では、実際のメリットや注意点はどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説します。
重見大介 2023.01.30
読者限定

こんにちは。
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

詳細は以下をご覧ください。

今回は「無料登録者限定」のニュースレターです。
ぜひご登録の上、読み進めていただけると嬉しいです。

経口中絶薬が薬事承認へ

2023年1月27日、経口中絶薬が厚生労働省の部会によって薬事承認を了承されました。今後、パブリックコメント募集したのちに、早ければ2023年春にも正式承認される見通しとなっています。

これにより、これまで日本では人工妊娠中絶の手段として「手術」しかなかったところへ、「飲み薬」という選択肢が新たに加わることになります。

妊娠して63日以内の女性が対象となり、1つ目の錠剤を服用して36〜48時間後に2つ目の錠剤を服用することで、子宮収縮を促し中絶ができるという薬剤です。
なお、厚労省の吉田易範・医薬品審査管理課長は1/27の部会後の記者説明会で「患者は入院または2回受診して2剤とも院内で服用し、2剤目服用後は入院または院内待機することになる」と説明しました。
(*こうした管理方法も含めて、2/1~2/28の期間にパブリックコメントで意見を募る予定となっています。)

中絶薬は世界保健機関(WHO)が推奨する中絶方法の一つで、1988年にフランスで推奨されて以降、80か国以上で承認されています。なお、米国では中絶処置の中で薬剤が全体の約4〜5割、英国では約7割を占めています。また、英国では薬剤による中絶処置のうち約4割が自宅での服用となっています。

女性にとってのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の向上に繋がる新たな選択肢として大きな期待が寄せられる経口中絶薬ですが、決して「魔法の薬」ではありません
そのメリットや注意点、使用する場合に実際に起こりうる状況などをきちんと把握し、「手術」と「飲み薬」のどちらにするか適切に判断していくことが望ましいでしょう。

経口中絶薬のメリット

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3178文字あります。
  • 経口中絶薬の注意点やよくある誤解
  • 産婦人科医からみた正直な感想
  • アンケートのお願い

すでに登録された方はこちら

読者限定
産婦人科医どうしのフリー対談(前編) 〜産婦人科を選んだ理由、変化をも...
サポートメンバー限定
最近の仕事内容を紹介します 〜ベンチャー企業編〜
サポートメンバー限定
妊娠中のセックス(性行為)、みんなはどのくらいしてるの?
読者限定
妊娠中のサプリメント、何が必要で何が危険?
サポートメンバー限定
"Gスポット"の真実 〜科学的に徹底解説します〜
サポートメンバー限定
性教育シリーズ(5) 〜性的同意〜
読者限定
皆さんに知っておいてほしい産婦人科の怖い話(5) 〜卵巣出血〜
サポートメンバー限定
男性へのHPVワクチン 〜基本情報から最新論文解説まで〜