トレーニングや運動は女性のホルモン分泌にどう影響するのか(1) 〜成長ホルモン・ストレスホルモン〜

継続的なトレーニングや運動(フィットネス)は性別に関係なく健康に大事、ということはよく聞きます。ただ、「女性のホルモン分泌にどう影響するか」はあまりきちんと知られていないかもしれません。
重見大介 2024.05.03
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トレーニングや運動(フィットネス)には、筋トレから有酸素運動までさまざまなものがあります。そして、それぞれ健康に良い面が多いというのは皆さん聞いたことがあると思います。

ただ、女性がトレーニングや運動をすると
・成長ホルモンは影響されるの?
・ストレスホルモンは減るの?増えるの?
・男性ホルモンは増えるの?
・女性ホルモンは増えるの?
など、体内のホルモン分泌がどうなるのかについてはあまりご存知ない方は多いのではないでしょうか。ググるといろんな情報が出てきて、混乱しますよね。

今回は、「トレーニングや運動は女性のホルモン分泌にどう影響するのか」というテーマで、成長ホルモン・ストレスホルモンに焦点を当てて、エビデンスを踏まえてしっかり解説していきます。

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この記事でわかること

  • トレーニングや運動による一般的な健康への影響

  • 女性の筋力トレーニングによる成長ホルモンへの影響

  • 女性の持久力トレーニングによる成長ホルモンへの影響

  • 女性の筋力トレーニングによるストレスホルモンへの影響

  • 女性の持久力トレーニングによるストレスホルモンへの影響

  • マイオピニオン(私個人の考えや意見)

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トレーニングや運動による一般的な健康への影響とは

女性の健康にとって、継続的なトレーニングや運動(フィットネス)はとても重要です。適切にトレーニング・運動を続けることで、

・心臓や血管系の健康度が改善
・骨密度が上昇
・適正体重を維持しやすくなる
・良好な睡眠をとりやすくなる

など、さまざまなメリットが得られます。また、精神的な健康にもプラスの影響を与え、ストレス軽減や気分の改善に役立つことがわかってきています。(文献1-4)

特に閉経後の女性にとって、骨粗鬆症の予防や骨の健康維持は大切です。適度な負荷をかけたトレーニングは骨に刺激を与え、骨密度の低下を抑制します。
閉経前の女性にとっても、トレーニングや運動は体重管理や筋力維持に効果的です。定期的な運動によってエネルギー消費が増え、脂肪の燃焼が促進されます。その結果、体脂肪の減少や体重のコントロールがしやすくなるでしょう。また、筋力トレーニングは筋肉量の増加を促し、基礎代謝率を上げることができます。これによって、身体の脂肪燃焼が促され、適正な体重を維持できるようになります。

メンタルヘルスにも、トレーニングやフィットネスは大きなメリットをもたらします。運動によってエンドルフィン(幸福ホルモンと呼ばれたりする神経伝達物質のひとつ)が分泌され、ストレスの軽減や気分の改善が促されます。また、定期的な運動は睡眠の質を向上させるという研究結果も複数あります。これらの効果によって、日常生活でのストレスや不安の軽減が期待されます。

以上のように、女性にとって継続的なトレーニングや運動は、心身の健康を維持するために有益です。

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