低用量ピルに関する誤解を解消! 〜15の誤解や不安を徹底解説〜
今回は15のよくある誤解をひとつひとつ丁寧に解説します。正しい知識のもとに、適切に低用量ピルを活用していきましょう。
こんにちは。本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
この記事でわかること
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低用量ピルはどんな薬か
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低用量ピルにはどんな種類があるか、具体的な薬剤名
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よくある誤解や不安15選と、医学的に正しい回答(例:体重が増える?、飲み続けてると将来不妊になる?、がんのリスクが上がる?、性欲が減退する?、月経がなくなる?、ニキビが悪化する?、未成年の女子は飲めない?、産後1年間は一切飲めない?など)
低用量ピルってどんな薬?
低用量ピルとは、エストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンを含むホルモン剤で、服用することで体内で自然に生成される女性ホルモンと同様の働きをします。
含まれるホルモンの微妙な違いによって低用量ピルにはいくつか種類があり、体質に合う(副作用が出にくい)ものを見つけることが重要です。
主に避妊目的と、月経困難症などへの治療目的に使われます。
避妊目的
経口避妊薬と呼ばれているものです。エストロゲンとプロゲステロンの影響で排卵を抑制し、受精卵が子宮に着床することを防ぎます。他にも、子宮内膜が十分に厚くならず、着床しにくい状態になります。また、子宮の入り口(頸管)の粘液が濃くなって子宮内に精子が入りにくくなります。
適切に服用していれば、その避妊効果は非常に高く、避妊効果は99%以上です。
避妊目的では自費処方となります。
月経困難症や月経前症候群(PMS)への治療目的
低用量ピルは、月経困難症や月経前症候群(PMS)の軽減にも有効です。これは、低用量ピルがホルモンのバランスを調整して月経周期を規則的に保ち、子宮内膜が薄く保たれることで、月経の量は減り月経痛が軽減します。
また、PMSによる気分の変動や不快な身体的症状を軽減することも可能です。
月経困難症・子宮内膜症の治療を目的として使われる低用量ピルはLEP(low dose estrogen-progestin)と呼ばれ、保険適用になります。
*PMSだけでは保険適用になりませんが、月経困難症の症状もあれば保険適用になります。
低用量ピルにはどんな種類があるの?
経口避妊薬とLEPには、それぞれ以下のような種類のピルが販売されています。
経口避妊薬
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トリキュラー
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シンフェーズ
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アンジュ
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ラベルフィーユ
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マーベロン
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ジェミーナ
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ファボワール
各薬剤でホルモンの種類や含有量が異なり、避妊以外にも副効用として月経痛やPMSの緩和、ニキビの改善効果なども期待できます。
LEP(超低用量タイプも含む)
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ルナベルULD
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フリウェルULD
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ルナベルLD
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フリウェルLD
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ヤーズ
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ヤーズフレックス(長期服用が可能)
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ドロエチ(ヤーズのジェネリック)
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ジェミーナ
それぞれ、服用方法やホルモンの種類・配合量が異なっており、相性や副作用などを考慮して選択されます。
よくある誤解や不安15選
では、ここから低用量ピルに関するよくある誤解や不安についての解説をします。
今回は15種類をピックアップしました。