「クリトリス」について医学的・生物学的に解説します

どうしてもエロコンテンツでばかり話題になりがちなクリトリスについて、真面目に解説してみます。
重見大介 2026.02.07
サポートメンバー限定

本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

今回はサポートメンバー限定記事です。最後までご覧になりたい方はサポートメンバー登録をお願いいたします。

***

女性の外性器の一部である「クリトリス(陰核)」。

非常に敏感で「気持ちよさ」を感じやすい部位なので、どうしてもエロの文脈で話題になることが多いです。そして、意外に産婦人科医であってもクリトリスについてしっかり勉強することはありません。(もちろんクリトリスの部分に病気ができることもあるので診察や治療をしますが、特別詳しい知識を持っているわけではないんですよね)

そこで、今回はクリトリスについて大真面目に医学的・生物学的に調べ、解説してみることにしました。きっと「そうだったんだ。。!」ということが少なくないはずですし、よくある誤解も解いていきますので、ぜひ最後まで読んでみていただけると嬉しいです。

この記事でわかること

  • クリトリスとは解剖学的にどんなものか

  • クリトリスの役割

  • クリトリスは他の哺乳類にもあるのか

  • クリトリスに関するよくある5つの誤解(小さいと感じにくい?頻繁に刺激すると感度が鈍くなる?など)

  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

***

クリトリスってどんなもの?解剖学的な解説

クリトリス(陰核)は女性の外性器の一部で、小陰唇に囲まれた上部に位置する小さな突起です。これは、男性のペニス(陰茎)に相当する器官なんです。

目に見えるクリトリスの先端部分(亀頭)はだいたい豆粒大くらいで、直径はおよそ3~8mm、長さは1~1.5cm程度とされています。そして、通常、普段は包皮に覆われており、これは男性の陰茎の包皮(亀頭を覆う皮膚)に相当しています。(解剖図のイメージ画像はセンシティブなので、読者さんだけが見えるこの段落の直下に置いておきます)

しかし、意外に知られていないのが、クリトリスは実は思っている以上に大きな器官であり、外から見えている部分は「氷山の一角」にすぎないということです。

クリトリスは内部に長く細長い「脚」や球状の組織を左右に広げていて、それらは腟の周囲まで達しています。内部構造まで含めると、大きさは10cm程度にもなっていると報告されています。(文献1)

組織学的には男性の陰茎と同様に海綿体組織から成り、性的興奮時には血液が充満して勃起し、サイズが一時的に大きくなります。

そして、クリトリスは極めて豊富な知覚神経を有します。

主な神経は陰部神経の枝である陰核背神経(dorsal nerves of the clitoris: DNC)で、これが左右からクリトリスに入り込み、その敏感な感覚を司っています。長い間、「これらの神経の数はおよそ8000本くらいじゃないか」と考えられていたのですが、人間のクリトリスにどれだけの神経線維が入っているかを、顕微鏡で数えて実際に確かめた研究はほとんどありませんでした。

そんな中で、2023年に報告された研究では、5人の患者さんが摘出手術を受けた際に余ったごく短い部分(5mm)を使わせてもらい、神経の断面を顕微鏡で観察して、神経の線(軸索)を数えました。その結果、ヒトのクリトリスには少なくとも約1万本もの神経線維が存在することが明らかとなりました。(文献2)
研究チームの熱意にびっくりさせられる研究ですね。。!
とまぁこのように神経が密集しているため、クリトリスは身体の中でも特に敏感な部位となっています。

さらに血管も豊富で、性的刺激により陰核は充血し、色や硬さに変化が生じます。

なお、クリトリスは、快感を得ることがほぼ全ての目的とする器官とも言われており、尿道や生殖に直接関与しない点で、他の器官と一線を画しているとも言えるでしょう。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、5916文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

読者限定
テストステロン(男性ホルモン)入門 〜23個のQ&Aで学んでみよう〜
サポートメンバー限定
緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧を分析してみて思うこと(2026/...
サポートメンバー限定
妊婦本人の希望による帝王切開は「単なるワガママ」なのか?
読者限定
【決定版】閉経後の女性に訪れる身体の変化と病気を徹底解説!
サポートメンバー限定
【最新の注目研究3選】個人的に気になった研究知見を紹介します(2026...
サポートメンバー限定
【募集質問への回答】妊娠中のお腹の張り、生理前の片付けや掃除、中用量ピ...
誰でも
【2025年振り返り】必読!今年の注目ニュースレター記事をピックアップ...
サポートメンバー限定
産婦人科医として仕事をしていて正直キツかった時を振り返ってみた