妊娠中や授乳中の薬って安全に使えるの?産婦人科医のホンネ(前編)
今回は、妊娠中や授乳中の薬に関する産婦人科医の本音(前編)をご紹介します。
この記事でわかること
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妊娠中に薬を使う場合の基本原則
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授乳中に薬を使う場合の基本原則
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妊娠中に解熱鎮痛薬は安全に使用できるのか
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妊娠中に使用される解熱鎮痛薬の具体例と危険な解熱鎮痛薬の具体例
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授乳中に解熱鎮痛薬は安全に使用できるのか
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授乳中に使用される解熱鎮痛薬の具体例と危険な解熱鎮痛薬の具体例
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妊娠中に抗アレルギー薬(主に花粉症)は安全に使用できるのか
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妊娠中に使用される抗アレルギー薬の具体例と危険な抗アレルギー薬の具体例
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授乳中に抗アレルギー薬(主に花粉症)は安全に使用できるのか
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授乳中に使用される抗アレルギー薬の具体例と危険な抗アレルギー薬の具体例
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マイオピニオン(私個人の考えや意見)
妊娠中の基本原則
妊娠中は、子宮内に胎児がいて、血液が臍の緒を通じて胎児にも影響してしまいます。よって、特に「薬剤」には注意が必要、ということは誰しもがご存知だと思います。
実際には妊娠時期によって影響は異なります。
中でも妊娠初期(〜妊娠15週頃)は胎児の体が作られている時期なので最も薬剤の影響を受けやすいのです。
また、妊娠初期のうちでも、「妊娠4週未満」、「妊娠4〜7週」、「妊娠8〜15週」で薬の影響の受けやすさが違います。
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妊娠4週未満
薬の影響が大きく及ぶと流産となってしまいますが、そうならなければ、胎児の発育に影響が残ることはないとされています。つまり、「流産となるか、全く問題ないか」のどちらか極端ということになります。 -
妊娠4〜7週
胎児の体の基礎が作られる時期で「器官形成期」と呼ばれます。体の異常が起こるかどうかという意味では最も過敏な時期で、「胎児の体の異常」に関しては薬剤の影響を最も懸念すべき時期だと言えるでしょう。 -
妊娠8〜15週
胎児の重要な器管の形成はほぼ終わっている時期です。よって、薬剤の影響で体の異常が起こる可能性はだいぶ低くなっている状況です。
もちろん、妊娠中期(妊娠16~27週)や後期(妊娠28週〜)でも薬剤の影響で胎児の体に異常が生じることはあるので注意は必要です。
授乳中の基本原則
多くの薬剤は、使うことで血液中に吸収され、母乳中にも成分が移行します。ただ、その移行する量は非常に少ないことがこれまでの研究でわかっており、さらには一部の危険性の高い薬でなければ赤ちゃんに悪影響をもたらす可能性はとても低いというのが大切なポイントです。
また、何らかの持病等について薬剤を継続的に飲んでいる場合には、お母さんの健康を守る意味でも勝手に服薬をやめては危険です。母乳をあげるため、絶対に薬の使用をやめる必要はありません。
それぞれの薬剤とお母さんの状況を総合的に考慮し、薬剤を継続するか、母乳をあげても良いか、などを主治医とともに決めることが重要です。
それでは、産婦人科医が臨床現場で実際に薬をどのように考え、処方したりアドバイスしたりしているかをご紹介します。
なるべくエビデンスに基づき、客観的な資料やデータ、臨床現場での見解を踏まえてまとめた内容ですが、主治医にも必ず確認や相談をするようにしてくださいね。
(1) 解熱鎮痛薬
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