無痛分娩のよくある9つの誤解 〜母子への影響、回復、授乳との関連など〜

無痛分娩。最近では耳にする機会も増えてきましたが、まだまだ誤解を持っておる人も少なくないと感じます。今回は、よくある9つの誤解をわかりやすく解説します。
重見大介 2024.05.13
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本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

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出産は、人生の中でも大きなイベントの一つです。最近注目がより集まってきている無痛分娩について、まだまだ誤解されがちな点が少なくありません。例えば、母体への影響、赤ちゃんへの影響、身体の回復プロセス、授乳への影響といった多方面で誤った情報が散見されます。

このニュースレターでは、無痛分娩に関するよくある誤解を9つピックアップし、科学的根拠に基づいて解説します。妊娠を考えている、または出産を控える皆さんが、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

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この記事でわかること

  • 無痛分娩とはどのようなものか

  • 無痛分娩の妊婦自身への安全性

  • 無痛分娩の子どもへの安全性

  • 無痛分娩による分娩への影響(分娩時間、帝王切開のリスク)

  • 無痛分娩による身体の回復への影響

  • 無痛分娩による授乳への影響

  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

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無痛分娩とはどのようなものか

無痛分娩は、出産時の痛みを軽減するための方法です。主に、腰部に近い背骨に麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を使用します。この方法により、陣痛の痛みを感じにくくなりますが、意識ははっきりしており、分娩の進行に必要な力みは保たれます。なお、「点滴からの鎮痛薬投与」という方法もありますが、一般的に無痛分娩と呼ばれるものは「硬膜外麻酔」を指す場合が多いでしょう。

無痛分娩の大きな利点は、母体の痛み、ストレスや疲労を大幅に減少させることができる点です。これにより、出産がより積極的でコントロールしやすいものになることが期待されます。また、陣痛が非常に強い場合や、長時間にわたる出産で母体が疲弊してしまうような場合にも、無痛分娩は有効です。

医学的に無痛分娩が推奨されるケース(高血圧など合併症を抱えているなど)を除き、基本的には「妊婦の希望による自費診療」となります。ただ、実施できるかどうかは、妊娠経過や合併症の有無、分娩予定の病院の設備、担当医師の判断によって異なります。無痛分娩に興味がある場合は、出産予定の病院や担当医に早めに相談してみましょう。

*なお「無痛分娩」のほかに「和痛分娩」という用語も使われることがあり、医療機関によって麻酔方法や効きの強さ等で言い分けていることがありますが、本記事ではまとめて「無痛分娩」と表します。

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続きは、3373文字あります。
  • 誤解1:無痛分娩は妊婦自身にとって副作用や危険性はない
  • 誤解2:無痛分娩は出産の自然な過程を妨げる
  • 誤解3:無痛分娩では麻酔によって身体の回復が遅くなる
  • 誤解4:無痛分娩は赤ちゃんに悪影響を及ぼす
  • 誤解5:無痛分娩は出産体験をなくしてしまう
  • 誤解6:無痛分娩であれば完全に痛みを感じない
  • 誤解7:無痛分娩では分娩の進行が必ず遅れてしまう
  • 誤解8:無痛分娩は帝王切開のリスクを高める
  • 誤解9:無痛分娩は授乳に悪影響を与える
  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

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