全ての男性に知っておいてほしい、女性の月経について
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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通常、閉経前の女性は避けられない「月経(生理)」という現象。しかし、日本では学校で教わる性教育にかなりばらつきがあり、一昔前であれば月経について一度もしっかり説明を聞いたことがない男性も少なくないでしょう。
今回は、男性にも知っておいてほしい月経のことについて詳しく解説します。本記事を読むことで、月経とはどんなものか、なぜ男性がそれを知っておくべきなのかがわかり、女性への配慮やコミュニケーションに必ず役立つものと思います。
この記事でわかること
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月経は自分で止めたり調整できない理由
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月経はちょろっと血が出るという軽いものではない
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月経の管理が原因で入院するほど重症化する恐れがある
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生理用品は生活必需品の一つである理由
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女性は心身のストレスで予期せぬ出血が起こること
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被災中に抱える女性特有の不安や負担
1400万以上のインプレッションがあったXでの投稿
先日、Xでこんなポストをしたら、予想以上の大きな反響がありました。これは、石川県を中心として大きな被害を出した元旦の地震と被災を受けての投稿です。

・月経は自分で止められない
・月経はちょろっと血が出るだけのものではない
・月経の管理ができないと骨盤内感染症で重症化する恐れもある
・生理用品は生活必需品の一つ…
全文は以下の通りです。
女性にとっては当たり前で恐縮ですが、月経や生理用品について誤解を持っている男性は結構多いので一応。
・月経は自分で止められない
・月経はちょろっと血が出るだけのものではない
・月経の管理ができないと骨盤内感染症で重症化する恐れもある
・生理用品は生活必需品の一つ
・ストレスで不正出血が出てしまうこともある
・こうした月経の不安を被災中に抱えることによる心身のストレスは相当大きなものになる
どうか誤解なきようにお願いします。この機会に一人でも多くの男性に知っておいてほしい。
インプレッションは1週間で1400万を超えており、炎上という形ではなく多くの人の目に少しでも入ってくれたことは素直に嬉しかったです。
ただ、Xではやはり長文の投稿はしにくいですし、どんどん流れていってしまうので、本記事で追加の説明していきたいと思います。
(1) 月経は自分で止められない
解説
月経、一般的に「生理」と呼ばれるものは、一部の病気を持っていない限り、女性の体に毎月自然に生じる現象です。これは一言で言えば「分厚くなった子宮の内側の膜が出血と一緒に剥がれて出るもの」です。
月に一回、卵巣から分泌されるホルモンの影響を受け、子宮内膜(子宮の内側を覆っているもの)が厚くなり、妊娠に備えるという現象が起きます。つまり、「もし精子と卵子が受精した受精卵が子宮の中に到達した場合に、しっかり子宮の内側にくっついてもらう」ための準備ということになります。
このとき、セックスをしなかった、受精しなかった、受精卵が子宮内まで到達しなかったなどの場合には、この分厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に体外に排出されるのが「月経」です。
これは体に備わって自動的に生じる現象であり、自分の意志や意識で止めることはできません。「尿のように、自身の意識で一定時間止めたり、好きなタイミングで出すことができる」と誤解をしている男性がいらっしゃいますが、それは誤りだということになりますね。
男性が知っておくべき理由
この自然な生理的現象を理解することは、女性の体内でホルモンや子宮の変化が毎月起こっていることや、それに伴ってさまざまな負担や苦労を抱えていることについて、理解を深めることになると私は思っています。
女性が月経期間中(多くは3〜7日程度)に抱える体調不良や感情の起伏・変化、排出される月経血への不安を持ちながら生活していることをわからずに、パートナーを含む身近な女性と良好なコミュニケーションを持つことは難しいでしょう。
もちろん、相手との関係性によってどのように気遣うのか、どこまで話をするのか、などはつがってくるでしょうが、ベースの知識として非常に重要だと思います。
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