更年期女性が仕事をしやすい環境づくり、どうすれば良い?エビデンスをもとに解説します

今回は更年期と仕事の両立について近年のエビデンスや資料をベースに整理しました。
重見大介 2026.09.15
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本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

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40〜50代の女性が「いちばん仕事が面白くなる・やりがいが出てくる頃」に、または「生計を立てるために頑張らないといけない時期」に、同時にやってくるのが更年期ではないでしょうか。

これは多くの女性が直面する課題ですが、これまではどうしても「個人的な問題」として捉えられてしまいがちでした。最近では、健康経営の一環として、働く女性の健康支援も進んできていますが、まだまだ不足している面は多いと感じています。

今回は「更年期と仕事」を考える重要性と実際の施策を、最新の調査や研究を通して解説していきます。

この記事でわかること

  • なぜ「更年期と仕事」を真面目に考える必要があるのか

  • 日本の女性の更年期と仕事の現状、課題

  • 更年期が仕事に影響するとき、何が起きているのか

  • 症状よりも重要な「職場の心理的環境」

  • 働きやすい職場は、更年期にやさしいと本当の意味

  • 人事・管理職向けの実践的な具体例

  • 参考にできる公的資料

  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

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なぜ「更年期と仕事」を真面目に考える必要があるのか

更年期は、女性の閉経移行期〜閉経期にあたりますが、年齢としては、45〜55歳前後に訪れるとされています。総務省の調査(2024年)では、日本ではこの年代の女性の就業率がすでに80%を超えていて、更年期の時期と「働き盛り」の時期が重なってきています(文献1)。

特にこの世代は管理職やプロフェッショナルとして組織の中核を担う存在となってきていることが多いですよね。更年期症状による離職やパフォーマンスの低下は、本人のキャリアだけでなく、企業の経営にも直結する重要な課題となってきています。

経済産業省の試算(2024年)でも、「女性特有の健康課題」による経済損失が、社会全体で年間約3.4兆円に達するとされていて、その中でも更年期症状関連の損失が約1.9兆円に上るとされています(文献2)。

一方で、更年期の難しさは、どうしても「職場環境の問題」ではなく、「個人の問題」として考えられてしまいがちです。2021年の調査(NHK・JILPT)では、受診が推奨される程度の更年期症状がある女性のうち、6人に1人が「仕事を辞めた」「非正規になった」「労働時間が大きく減った」など、何らかの雇用の問題を経験しているようです。

しかし、その多くは個人的な事情として処理されてしまい、会社による対応がとられていないことが多いです。また、症状が重くても「年齢のせい」「気の持ちよう」として我慢し、医療に結びつかないケースも多いことが指摘されています(文献3)。

内閣府経済総合研究所の研究では、更年期症状の強さに影響する因子として、個人の身体状況(BMIや婦人科既往歴)だけでなく、労働環境が明確に関連していることが報告されています(文献4)。また海外の研究でも、症状そのものだけでなく、仕事の不安定さ・仕事満足度の低さ・職場で評価されない感覚など、職場の環境が更年期への対処困難感と強く関係していたことが報告されています(文献5)。

これらを踏まえると、「更年期と仕事」は、個人のメンタルや体力の問題ではなく、「職場環境の設計」の問題として捉え直す必要がある、ということがお分かりになるかと思います。

*以下の過去記事もぜひ参考にしてください。

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