皆さんに知っておいてほしい産婦人科の怖い話① 〜妊娠中の子宮破裂〜

産婦人科医として診療にあたっていると、ときどき「冷や汗が止まらないくらいの緊急事態」に出くわすことがあります。いずれもそうした事態を回避するために患者・医師双方にできることがあると思っているので、私自身の経験をベースにした架空の事例を通じて「産婦人科の怖い話」を紹介します。
今回は「妊娠中の子宮破裂」です。
重見大介 2023.07.19
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こんにちは。本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

詳細は以下をご覧ください。

***

この記事でわかること

  • 「妊娠中の子宮破裂」の事例紹介(実体験をもとにした架空の事例)

  • 子宮破裂とはどんな病気か

  • 発生率

  • どんな人に起きやすいか

  • 主な症状、サイン

  • 子宮破裂が起きた場合の対処法

  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

***

事例紹介(実体験をもとにした架空の事例)

*以下は私が作った架空の事例で、一般化したものです。
*手術中のシーンの描写があります。あまり詳細まで記載していませんが、ご注意の上でご覧ください。

受診時対応

私が当時働いていた病院で当直(夜間〜翌朝までずっと働く当番)をしていたら、かかりつけの妊婦さんから「お腹が痛いのでこれから受診したい」という電話がかかってきました。電話口では普通に会話ができて、救急車を呼ぶレベルではないようだったのでご自身で来院していただきました。

妊婦さんは妊娠30週台前半で、まだ陣痛が来る時期ではありません。私は学年が数年上の先輩医師と二人で診察にあたりました。来院されたらそのまま産婦人科の病棟まで来ていただき、内診台でお話を聞きながら診察を進めました。

診察では時折お腹を痛がるものの話せないほどの激痛という様子ではなく、子宮からの出血や破水徴候も認めませんでした。こうした状況ではまず「切迫早産」の状態を疑うため、子宮頸部の長さや子宮口の状態も評価しましたが、明らかな異常は認めませんでした。

「とりあえずすぐに産まれてしまいそうな切迫早産の状況ではなさそうだ」と一安心し、内診台からベッドに移っていただき血圧測定と採血検査、子宮と胎児のモニター検査に移りました。看護師さんにお願いしたのでいったん電子カルテへの記録をしようとナースステーションに戻ったのですが、すぐ看護師さんに「先生、ちょっと来てください」と声をかけられました。
どうしたんだろう、と思い診察室に戻ると、「どうしても血圧が測れなくて、モニターでも胎児心拍がうまく測定できないんです」と言われました。おかしいなと思って脈を触るとかなり弱いと感じたので、「やばいかもしれない」と思い「xxさん、具合いかがですか?」と聞くと、やや間を置いて「なんかぼーっとします」と返答がありました。
加えて、胎児心拍モニターで心拍数がうまく測定できず、胎児の無事を確認できない状況でした。

この瞬間に、一気に鳥肌が立ち冷や汗が出てきました。
血圧が低く、意識がややはっきりしないというのは「ショック状態」の可能性があります。ショックとなる原因はさまざまですが、妊婦さんの場合には出血やアレルギー反応が代表的のため、「お腹の中で何かが起きているかもしれない」と直感的に考え(ただ当時の私は何が起きているのかまだ見当がついていませんでした)、すぐに上司2名を呼びました。手短に電話で状況を伝えたところ、一番上のベテラン医師から「点滴取ってすぐ手術室に運んでおいて」と指示がありました。この時、きっと上司の頭の中にはある程度の状況が想像できていたのでしょう。
そのまま、指示通りにすぐ手術室へ運び、手術の準備を進めました。

緊急手術

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