日本の性教育はなぜ遅れている?産婦人科医と臨床心理士が語る、家庭の性教育と未来
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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性教育は、私にとって大きな活動テーマの一つです。まだまだ日本では不十分な面が多く、自分の子どもにどう伝えていけばいいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、臨床心理士である戸田さやかさんと、専門家から見た日本の性教育の現状と課題、そして家庭でできる性教育のコツについて対談形式で考えました。ぜひ参考にしていただければと思います。
末尾に性教育に関するオンラインイベントの案内もありますので、ぜひ最後までご覧くださいね。
対談者プロフィール
戸田さやか:公認心理士・臨床心理士の戸田さやかです。「専門はカップルの性の問題で、妊活・不妊治療、性の健康がメインフィールドです。日本では性の問題や妊活のことを扱う心理士って非常に数が少ないんですけれども、少し珍しい分野で活動しています。
所属する株式会社ファミワンは、オンラインの健康相談サービスを企業や自治体に向けて提供している会社です。
7月27日に開催されるオンラインイベント「夏休みスペシャル!子ども性教育2024」についても告知させていただきます(※追記:イベントは終了しました)。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
「日本の性教育はなぜ遅れてる?」専門家が語る現状と、家庭でできること
戸田:それでは早速ですが、日本の性教育の現状について、意見を交換できればと思います。重見先生、医療の現場からどのように感じていらっしゃいますか?
重見:率直に言って、「遅れ」を強く感じます。例えば、性教育に深く関わっている産婦人科では、症状が悪化してから産婦人科を受診される方がけっこう多いのですが、適切な知識があればこんなに悪化しなかったのに、もっと早期に対処できたのに、というケースも少なくありません。また、性被害や性加害の問題も、適切な教育で減らせる可能性が大いにあると考えています。
戸田:私も同感です。心理の立場から見ても、日本の性教育は国際的に非常に遅れていると言わざるを得ません。特に気になるのは、「教えてはいけない」項目が教育指導要領に定められているなど、実態と行政の認識にずれがあることです。
重見:そうですよね。実は、医学教育の現場でも似たような状況があります。驚くかもしれませんが、産婦人科医でも全員が性教育について専門的に学んでいるわけではないんです。基本は病気の診断と治療が中心で、予防や教育的な側面はあまり重視されてこなかったのが実情です。
戸田:心理士の養成課程でも同じ問題があります。性教育については基本的に学びませんし、長らく心理士が扱う性の問題は、依存症や性に関わる疾患など、病理的な側面が中心でした。
重見:両者とも専門家を育成する段階で課題があるわけですね。これはもっと改善されるべき課題だと思っています。戸田さんは、この状況を改善するためにどのようなアプローチが必要だとお考えですか?