月経困難症や不妊の原因となる子宮内膜症、どうして起こる?メカニズムを解説
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子宮内膜症ってどんな病気?
子宮内膜症(endometriosis)は、10代〜40代女性の約1割が患っていると考えられている病気で、子宮の内側(内腔)にある「子宮内膜」という組織が骨盤内の別の部位に発生してしまうものです。
月経のたびに骨盤内の様々な部位で炎症や出血が起こってしまい、痛みを引き起こします。
最も代表的な症状は「ひどい月経痛」「月経痛の増強」で、「痛み止めを飲んでも痛みが取りきれない月経痛」や「年々悪化する月経痛」は子宮内膜症を疑うサインです。なお、月経痛以外にも腰痛や性交痛、排便痛などが起こることもあります。
また、影響は「痛み」だけではありません。炎症によって骨盤内の様々な部位に癒着(ゆちゃく)が生じ、臓器どうしがくっついてしまいます。癒着によって卵管の通りが悪くなったりすると不妊に繋がります。子宮内膜症と診断された女性の30〜50%が不妊だったというデータもあります。

https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/endometriosis/symptoms-causes/syc-20354656
子宮内膜症はどうして起こるの?
それでは、なぜ子宮内膜症が起きるのでしょうか。
子宮の内側にあるはずの内膜組織が子宮の周りや卵巣、卵管に飛び散って存在するのは不思議ですよね。加えて、実は「稀少部位子宮内膜症」と呼ばれるタイプのものもあり、骨盤の外(腸管内腔、膀胱、腟など)に発生する子宮内膜症もあるので、ますます不思議に感じます。
子宮内膜症は女性ホルモンであるエストロゲンに影響されることが知られており、エストロゲンは子宮内膜症における炎症や痛みを増大させます。しかし、エストロゲンがなくても子宮内膜症が存在する場合もあるため、研究者を悩ませています。
結論から言うと、「発症メカニズムはまだはっきり解明されていない」のです。
ただ、いくつかの有力な仮説があります。今回はそのうち2つを紹介します。
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