近年の不妊治療の現状は?年齢別の流産率・出産率は?最新データを解説
この記事でわかること
-
不妊治療周期数の近年の推移
-
不妊治療による出生数の推移
-
高度生殖医療による年齢別の妊娠率・⽣産率・流産率
-
高度な不妊治療をすれば高齢でも子どもを確実に持てるのか
日本では年々不妊治療の実施数や不妊治療で産まれる子どもの数が増えています。日本産科婦人科学会では、不妊治療を実施するほぼ全ての国内施設へデータの提出を義務付けており、かなり網羅的なデータが集積されています。
先日、最新版のデータである「2021年の体外受精・胚移植等の臨床実施成績」が学会によって公開されました。どなたでもご覧になれる資料となっています。
今回は、このデータを用いて、近年の不妊治療(高度生殖医療)の現状や年齢別の流産率や出産率を解説します。
①治療周期数の推移
日本産科婦人科学会. 2021年の体外受精・胚移植等の臨床実施成績.
グラフに示されているように、不妊治療の実施数は年々増加傾向にあり、2016〜2020年は横ばい程度でしたが2021年は大幅に増加しました。年間でおよそ50万件に達しています。
ちなみに、治療周期とは「現在進行中の不妊治療の実施数」を意味しており、同じ人が複数回にわたり体外受精を行うような場合には1回ではなく「のべ回数」とカウントされます。
なお、日本で不妊治療が保険適用となったのは2022年4月からだったので、その影響はまだこのデータに反映されていません。おそらく、2022年にはもっと多くの不妊治療が実施されたものと推察されます。
②不妊治療による出生数
日本産科婦人科学会. 2021年の体外受精・胚移植等の臨床実施成績.
次に、不妊治療(高度生殖医療)による出生数の推移です。ご覧の通り、こちらも年々増加傾向にありますが、2021年は大幅に増えたことがわかります。
年間約7万人ですので、2021年の全出生数( およそ81 万1千人)のうち8.6%程度を占めています。30人の生徒がいるクラスがあれば、そのうち約3人の子どもは不妊治療(高度生殖医療)によって生まれた計算になります。
現代ではこのくらい「不妊治療(高度生殖医療)が当たり前」になりつつあるという認識を持っておく必要があるでしょう。