【ひとり語り】医師の過重労働について思うこと

今回は、医師の過重労働について個人的な経験や思いを語ります。ぶっちゃけ話もありますが、あくまでもひとり語りとしてお読みください。
なお、過酷な勤務内容や辛いニュースが本文中に出てきますので、心理的な負担に耐え難いという方は読むことをお控えください。
重見大介 2023.08.18
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こんにちは。本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

詳細は以下をご覧ください。

医師の業務内容

まず、医師の一般的な業務内容について書いておきます。ただ私は産婦人科医であり、自分自身のキャリアしか直接は経験していないので、産婦人科医目線で比較的よくある若手〜中堅くらいの医師の働き方についてです。

初期研修医(卒後1〜2年目)

近年では、初期研修ではさまざまな診療科をローテートしながら幅広い知識を経験を積みます。

  • 診察初期研修医は、(場合によっては上級医のもとで)患者さんの診察をします。具体的には、患者さんが症状や困っていることを詳しく聞き取る「問診」や「身体検査」を行い、必要に応じて血液検査や画像検査のオーダーをします。

  • 処置や治療行為初期研修医は、様々な基本的な治療や処置を学びながら実践していきます。例として、小さな外傷の洗浄・縫合や点滴を取るなどは一人でも実施することがあります。複雑な処置や治療では上級医の指導下で実施します。私は初期研修から「産婦人科プログラム」だったので産婦人科の研修時間が多く、途中からはお産の立ち会いや分娩後の会陰縫合などもしていました。

  • 入院患者さんの担当入院している患者さんの状態を毎日チェックし、状態の変化や治療の経過を確認します。例えば、手術後の患者さんがいれば、その傷口の状態や痛みの有無、食欲や体温の変化などを毎日確認し、必要に応じて治療方針を検討します。基本的に、初期研修医が全ての治療方針を一人で決めることはなく、必ず上級医に確認して実施します。

  • 救急外来対応
    救急外来では、突然の体調不良や事故に遭った患者さんが受診・搬送されてきます。重症度・緊急度によって一次救急、三次救急などレベルが分かれており、例えば、一時救急であれば歩いて夜間に受診した患者さんが主な対象で、初期研修医が上級医の指導のもとで初期対応することがあります。三次救急になると交通事故など重症と予想される患者さんが救急搬送されてくるので、上級医と一緒に初期対応に当たります。

  • 学び研修医は医療の基本を学ぶ期間でもあるので、定期的に研修プログラムや教育セミナーなどに参加することもあります。また、学術集会に参加して最新の研究発表を聞いたり、自身が経験した患者さんの経過を症例報告として発表することもあります。

  • カルテの作成患者さんの診療情報は、電子カルテや紙のカルテに記録されます。具体的には、その日の病状、診察所見、行った治療や処置、そしてその後の治療方針などが詳細に書かれます。こうしたカルテを作成するのも初期研修医の業務の一つです。(上級医も記載内容を確認します)

このように、初期研修医は多岐にわたる業務を経験しながら、実際の医療現場でのスキルや知識を身につけていきます。

産婦人科専攻医(卒後3〜5年目)〜専門医取得直後(卒後6〜8年目頃)

産婦人科では、産婦人科専門医という資格を取得するまでに3年間ほどの専門的な修練を積みます。
以下のような項目について、十分な経験と知識の取得が求められます。

  • 女性のホルモンや身体面の知識

  • 産科特有の知識や妊産婦の疾患への対処

  • 婦人科特有の知識や婦人科疾患への対処

  • 婦人科悪性腫瘍の知識や治療経験

  • 出産の管理、立ち会い

  • 帝王切開などの手術

そして、一般的には卒後6年目頃に産婦人科専門医という資格を取得するための試験を受けます。筆記試験と面接で構成され、これまで経験した診療経験の提出、幅広い知識を問う筆記試験、患者さんへの説明を想定したシミュレーションなどが実施されます。

専門医を取得すると、入院患者さんの把握や治療方針の決定をある程度一人でするようになりますし、お産の立ち会いも一人ですることが増えます。救急外来の対応も一人で対応できる範囲のものは自身で対処します。(人員がいる施設であれば、下に後輩の研修医や専攻医がつくこともあります)

産婦人科医としての働き方の実際(私の例)

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