【更新版】経口中絶薬が正式に承認。実際の使用方法やメリット、注意点は?

2023年4月21日、経口中絶薬が厚生労働省の専門家による分科会によって正式承認されました。では、実際の使用方法やメリット、注意点はどのようなものがあるのでしょうか。改めて詳しく解説します。
重見大介 2023.04.22
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こんにちは。本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

詳細は以下をご覧ください。

経口中絶薬が正式に国内承認

2023年4月21日、経口中絶薬が厚生労働省の専門家による分科会によって正式承認されました。パブリックコメントが募集された結果、12000件ほどのコメントが集まり、それを踏まえた上での承認となりました。厚生労働省が正式に承認の手続きを行うステップが残っていますが、今後早期に使用できるようになることは確実でしょう。

これにより、これまで日本では人工妊娠中絶の手段として「手術」しかなかったところへ、「飲み薬」という選択肢が新たに加わることになります。

今回承認されたのは、ラインファーマが開発した「メフィーゴパック」。
妊娠して63日以内(妊娠9週以内)の女性が対象となり、1つ目の錠剤を服用して36〜48時間後に2つ目の錠剤を服用することで、子宮収縮を促し中絶ができるという薬剤です。

薬を投与できるのは「母体保護法指定医師」(都道府県医師会に指定を受けた医師)のみに限られ、ベッドがある医療機関のみで使用が認められます。また、入院と外来どちらでも可能となっていますが、使用体制が確立されるまでのしばらくは中絶が確認されるまで(子宮内から胎児がきちんと排出されたことが確認されるまで)は院内で待機することが必須になります。

中絶薬は世界保健機関(WHO)が推奨する中絶方法の一つで、1988年にフランスで推奨されて以降、少なくとも70か国以上で承認されています。なお、米国では中絶処置の中で薬剤が全体の約4〜5割、英国では約7割を占めています。また、英国では薬剤による中絶処置のうち約4割が自宅での服用となっています。

女性にとってのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の向上に繋がる新たな選択肢として大きな期待が寄せられる経口中絶薬ですが、決して「魔法の薬」ではありません。そのメリットや注意点、使用する場合に実際に起こりうる状況などをきちんと把握し、「手術」と「飲み薬」のどちらにするか適切に判断していくことが望ましいでしょう。

経口中絶薬のメリット

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続きは、3071文字あります。
  • 経口中絶薬の注意点やよくある誤解
  • マイオピニオン(私自身の感想・意見)

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