出産予定日近くの"内診グリグリ"、本当に陣痛はくる?安全性は?海外では?詳しく解説
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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この記事でわかること
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出産予定日とはどうやって決められているのか
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ちょうど予定日に生まれる確率はどのくらいか
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予定日を超えてしまうと問題があるのか
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内診での「グリグリ」(卵膜剥離)とはどんなものか
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「グリグリ」(卵膜剥離)は本当に陣痛を起こす効果があるのか
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卵膜剥離の危険性や注意点
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マイオピニオン(総合的な私の意見・考え)
出産予定日とは?ちょうど予定日に生まれる確率は?
「出産予定日」は、妊娠40週0日に設定されています。ちょうど妊娠10ヶ月のタイミングですね。これは、ずっと昔に、多くの女性の出産した時期を集計してみると「ちょうど妊娠40週0日前後に出産する妊婦が多いな」ということがわかり、一つの目安として「妊娠予定日」が定められたと考えられています。
ただ、実際には予定日ちょうどに出産となる妊婦さんはごく少数です。正常な出産の時期は「正期産=妊娠37週0日〜41週6日」と定められており、35日間あることになります。予定日はそのうちの1日だけなので、当然ながら出産する日はばらつきます。予定日ちょうどに出産となった妊婦さんは5%程度くらいしかいないというのが実際のところなのです。
予定日を超えてしまうと問題がある?
予定日を超えると、漠然とした不安も大きくなり、焦ってきてしまうお母さんもいらっしゃいますが、産婦人科医は予定日を超えたとしてもすぐに焦るわけではありません。
ただ、問題がないわけではありません。胎盤は妊娠期間が長くなると徐々に機能が落ちてきてしまうため、予定日を超えた場合には
・羊水量が減ってきていないか
・赤ちゃんは元気にしているか
などを妊婦健診で注意深くチェックします。
予定日を超えると、妊婦健診の間隔が短くなる(週2回など)ことが多いでしょう。
特に、妊娠42週を超える(=過期妊娠)とそれらのトラブルがより一層増えてくることがわかっています。そのため多くの医療機関では、可能な限り妊娠41週6日までに出産となるよう準備が進められます。
内診での「グリグリ」(卵膜剥離)ってどんなもの?
前述の通り、予定日を超えてもすぐに焦る必要はありませんが、妊娠41週を迎えてもまだ陣痛がくる気配がない場合に「分娩誘発」をすることがあります。これは、子宮頸管を広げる処置や陣痛促進剤の投与によって人工的に陣痛を起こし、計画的に出産へ進めるものです。もちろん安全に最大限注意を払って実施されますが、頻回な処置や陣痛促進剤の使用を伴う「分娩誘発」は「しないに越したことはない」ので、妊娠41週を超えるまでに妊婦健診でも陣痛が起こるような手伝いをしたい、と産婦人科医は考えたりします。
その目的のために実施されることがあるのが内診での「グリグリ」です。医学的には「(用手的)卵膜剥離」と呼ばれる処置で、以下のようなことをします。