「男らしさ」は健康に良い?悪い?有名医学誌が投げかける男性の健康問題
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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女性の健康については、月経や妊娠・出産、更年期などをきっかけに、社会全体で理解を深めようという動きが広がっています。産婦人科医による発信も増えてきていますよね。
一方、「男性の健康」について、皆さんはどのような問題を思い浮かべるでしょうか。一般的には、太り過ぎ、喫煙、運動不足などが頭に浮かぶかもしれません。
2026年10月、世界的な医学誌『The Lancet』は、男性の健康をテーマにした特集とともに「変わりゆく世界における、男性の健康の改善について」(注:私が翻訳)という論説を発表しました(文献1)。
今回は、その問題提起を手がかりに、男性の健康を個人の努力だけに任せず、社会のあり方と結びつけて考えてみましょう。
この記事でわかること
「男性の健康」とはどういうものを指すか
男性が女性より「健康的に不利」な最新データ
「男らしさ」という価値観が健康に与える影響
ジェンダー平等の促進につながる「進歩的な男性性(progressive masculinities)」
マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
そもそも「男性の健康」とは何のこと?
健康は、病気がないかどうかだけで決まるものではありません。心の状態、人とのつながり、安心して働き暮らせる環境なども関係します。
男性の健康を考えるときも、生活習慣病や、男性特有の臓器や病気に話が向きがちですが、それだけではないですよね。身近な人との関係が良好でも、仕事の疲労が蓄積していれば健康は損なわれますし、身体に異常がなくても強い孤独感に悩むことはあります。
ここで区別したいのが「セックス(生物学的な性)」と「ジェンダー(社会的・文化的な性のあり方)」です。
例えば、病気の発生には染色体やホルモン、身体構造などの生物学的要因が関わる一方、仕事の役割分担、感情の出しにくさ、受診への抵抗感などは、「社会的な価値観や期待」にも左右されます。
もちろん男性といってもさまざまな人がいます。年齢、働き方、所得、障害の有無、住む地域などによって、置かれる状況は大きく違います。
「男性だからこうだ」と乱暴に決めつけるのではなく、どのような人が、どのような環境で健康を損ないやすいのか。そうした視点を持つことの重要さを、今回の論説は書いています。

The Lancet. Improving men's health in a changing world. Lancet. 2026 Oct 31;408(10566):1787.
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