帝王切開を受けると、次は妊娠しにくくなるのか?徹底解説
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
今回は無料登録で全文読める記事です。メールアドレスをご登録いただくだけで最後まで読むことができます。

帝王切開は、母体や赤ちゃんの安全を守るために欠かすことのできない手術です。分娩が進まない、胎児の状態が悪化している、逆子である、前置胎盤があるなど、さまざまな場面で帝王切開が最も安全な出産方法となります。
一方で、帝王切開はお腹と子宮を切り開く手術でもあります。そのため、出産直後の回復だけでなく、「その後の妊娠や出産にはどんな影響があるのだろう」と気になる方もいるでしょう。
最近、1回目の出産方法と、その後の妊娠・出産との関連を約30万人規模で調べた研究(文献1)が発表されました。今回はこの研究を手がかりに、「帝王切開後は妊娠しにくくなるのか?」というテーマについて考えてみたいと思います。
この記事でわかること
帝王切開による長期的な影響
最近報告された研究の概要
帝王切開後では「2人目の出産」と「不妊治療の実施」にどんな違いがあるのか
「流産」や「次回妊娠までの期間」に影響はあるのか
「帝王切開子宮瘢痕症/帝王切開瘢痕症候群」とは何か
「帝王切開子宮瘢痕症/帝王切開瘢痕症候群」は必ず治療が必要なのか
マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
帝王切開は「その出産」だけの問題ではない:長期的な影響とは
帝王切開は、世界中で非常に多く行われている手術です。
WHO(世界保健機関)によると、2021年時点で世界の出産のおよそ21%、つまり5人に1人以上が帝王切開であり、2030年には約29%まで増えると推計されています。一方、地域差は非常に大きく、必要な帝王切開を受けられない地域がある一方で、帝王切開率が40%を超える地域もあります。(文献2)
ここでまず強調しておきたいのは、帝王切開そのものを「良い」「悪い」と単純に評価することはできないという点です。
母体や赤ちゃんに危険が迫っている状況では、帝王切開はまさに命を救う治療です。WHOも、経腟分娩では危険が高い状況で、必要な帝王切開を適切なタイミングで受けられることの重要性を強調しています。
その一方で、帝王切開は外科手術です。出血や感染、術後の回復といった短期的な問題に加え、その後の妊娠ではお腹の中の癒着、前置胎盤や癒着胎盤などのリスクとの関連が知られています。
さらに以前から懸念されてきたのが、「次の妊娠のしやすさ」です。
これまでにも、帝王切開を経験した女性では、その後の妊娠や出生がやや少ないのではないか、次の妊娠まで時間がかかるのではないか、という研究が報告されていました。しかし、このテーマの研究には大きな難しさがあります。
それは、「帝王切開そのものの影響」と「帝王切開になった人がもともと持っていた背景」を区別することがとても難しいということです。
たとえば、もともと妊娠しにくかった人が、何らかの理由で帝王切開になりやすい可能性があります。また、初回の出産が大変だったため第2子までの期間を空ける人や、希望する子どもの数そのものが異なる人もいるでしょう。
つまり、「帝王切開後に第2子が少ない」という事実だけでは、「手術によって妊娠しにくくなった」とは言えない、ということになりますね。
今回の研究は、まさにこのテーマをより詳しく検討するために行われました。
*以前にも関連テーマでの解説記事も出していますが、今回の記事は「次に妊娠できるのか、不妊治療が必要になるのか」にフォーカスした内容になっています。
約30万人の「初めての出産」を追跡:どんな研究?
今回メインで取り上げる研究は、オーストラリア・ビクトリア州のデータを利用した大規模な後ろ向きコホート研究というものです(文献1)。
対象となったのは、2005~2015年に自然妊娠で単胎の赤ちゃんを初めて出産した女性29万8,241人。そのうち20万5,164人が経腟分娩、9万3,077人が帝王切開でした。第2子については2017年まで経過を追跡されています。
ポイントは、最初の妊娠で体外受精・胚移植などの高度生殖補助医療を利用した人を除外していることです。
つまり、少なくとも第1子については自然に妊娠できた集団を対象に、「出産方法によって、その後の妊娠出産経過が違うのか」を調べています。
研究者らが主に調べたのは、
研究期間中に第2子を出産したか
第2子の妊娠に体外受精やその他の生殖補助医療が必要だったか
という2点です。
さらに、流産の頻度や、第1子出産から第2子妊娠までの期間についても解析されています。
もちろん、経腟分娩になった人と帝王切開になった人では背景が違う部分があります。
実際、帝王切開群では平均年齢がやや高く、BMI(肥満度)もやや高く、妊娠高血圧症候群や糖尿病、早産などを経験している人も多い傾向がありました。そこで研究者らは、年齢、社会経済的背景、もともとの高血圧や糖尿病などを統計学的に調整して比較しています。
出生データだけでなく体外受精などの医療データを連結させて調べたこと、そして約30万人という非常に大きな集団を対象としたことが、この研究の大きな強みだと言えるでしょう。私も興味深く読んでみました。
さて、気になる結果はどうだったのでしょうか。。?
この記事は無料で続きを読めます
- 帝王切開後では「2人目の出産」と「不妊治療」にどんな違いがあったのか
- なぜ帝王切開が次の妊娠に影響する?「帝王切開子宮瘢痕症/帝王切開瘢痕症候群」について
- マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
すでに登録された方はこちら
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績

