逆子を治す方法ってあるの?危険性は?〜外回転術、逆子体操、鍼灸について徹底解説!〜
こんにちは。本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
詳細は以下をご覧ください。
この記事でわかること
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最終的にどのくらいの人が逆子(骨盤位)になるのか
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逆子を治す方法の種類
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「外回転術」について
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「骨盤体操」について
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「鍼灸」について
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
最終的に逆子(骨盤位)ってどのくらいの人がなるの?
妊娠中に、赤ちゃんが頭を上にしていると「逆子(骨盤位)」と呼ばれます。子宮の中にいる間は羊水にぷかぷか漂っている状態なので、赤ちゃんが逆子でいることはかなり多いですし、くるくる回っているので決まった姿勢をとっているわけではありません。
<逆子のイメージ図>
https://americanpregnancy.org/healthy-pregnancy/labor-and-birth/breech-presentation/
最終的に、妊娠末期(陣痛がいつおきてもおかしくない時期)で逆子と診断されるのは、全妊婦さんの3-4%程度しかいないことがわかっています。
なので、まず大事なことは
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妊娠中期頃に逆子と言われてもまだ心配する必要はない(ほとんどの場合で自然に治る=頭が下を向くため)
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妊娠34週頃に逆子だと、赤ちゃんが大きくなってきているので自然に治る確率が低くなっている
ということです。
妊娠末期に逆子の場合には、そのまま陣痛が来ると逆子のまま出産に挑むこととなりますが、ここで問題が出てきてしまいます。
過去の大規模な研究で「逆子のまま経腟分娩を行うと新生児の死亡や合併症のリスクが明確にかなり上がる」ことが明らかになっています。そして、これは「陣痛開始前に帝王切開をすること」でそのリスクを避けられることもわかっています。
このため、妊娠末期で逆子の場合には、担当医から予定帝王切開を提案されることが一般的です。
なお、正式な割合は不明ですが、逆子のまま経腟分娩をOKしてくれる病院は日本でかなり少ないとされています。医療機関側の条件としては「いつでも緊急帝王切開が可能」「常に複数の産婦人科医が分娩立ち会いできる」「麻酔科や新生児科の了承・協力が得られている」などで、それを踏まえて産婦人科の責任者がOKとするかどうか、になります。
逆子を治す方法はないの?
前述の通り、多くの場合には逆子が続いていると予定帝王切開となります。ただ、一度帝王切開を受けた人は次の出産時も予定帝王切開になることが一般的(これは子宮破裂といった合併症リスクを避けるためです)ですので、
「逆子=帝王切開=次回以降も帝王切開」
というループが始まることとなります。
このため、逆子を治す方法はないの?と思うのも当然です。女性にとっては、帝王切開をしないに越したことはないですよね。
加えて、2020年のデータでは全分娩のうち帝王切開が約22%を占めており、今後もこの割合は増えていく可能性があります (1)。帝王切開はお母さんへの負担も大きなものですので、公衆衛生の観点でも、できるだけ減らしていきたいものです。しかし、一度でも逆子になるとこの帝王切開ループが始まってしまう可能性が高いので、全分娩に対する帝王切開の割合を高くなりすぎないようにするための1つの策として、「逆子を治す」ことが重要になってきます。
今回は、逆子への対処法として
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外回転術
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逆子体操
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鍼灸
について解説します。