身体に貼り付ける超薄型の超音波検査 〜フェムテック・女性医療の未来像〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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最近、Apple WatchやFitbitなどの端末を日常的に使用している人を多く見かけるようになりました。このようなウェアラブル端末は私たちの生活と密接に関わるようになってきています。
時間を確認したり、メールやメッセージを受け取ったりするだけではなく、端末に内蔵されたセンサーで健康管理や運動のモニタリングをすることもできるようになりました。
そんなウェアラブル技術のさらなる発展について、産婦人科でも身近なエコー(超音波)検査にフォーカスを当てて考えてみました。フェムテックの観点でも興味深いものだと思います。
この記事でわかること
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医療におけるウェアラブル技術にはどんなものがあるのか
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ウェアラブル超音波技術とはどんなものか
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ウェアラブル超音波技術で実現できうる新たな医療
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女性の健康にはどんなメリットがありそうか
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実用化に向けた7つのハードル
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マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
医療におけるウェアラブル技術にはどんなものがあるのか
現代の日常生活において、健康のためのウェアラブル技術は急速に発展・普及しています。例えば、私たちがよく目にする腕時計型の端末(Apple WatchやFitbitなど)は、心拍数、歩数、睡眠状態などをリアルタイムでモニタリングし、そのデータを用いてユーザーにフィードバックを提供することで、ユーザーが自分の健康状態を常に把握できるように設計されています。

Apple Watch

Fitbit
その精度も高まり続けており、Apple Watchの心電図機能は2021年に家庭用医療機器として厚生労働省から認可されています。心房細動(心房が細かく震え、不規則な脈拍を出す不整脈の一種)を検知できるというから驚きです。
さらに、これらの端末のデータはスマートフォンのアプリなどと連携することで、より詳細な分析や長期的なトレンドを把握できるようになっています。
このようにしてウェアラブルデバイスは、一般の人々にも日常的に健康を意識してもらえるための画期的なツールになりつつあると言えるでしょう。
(とはいえ、まだ普及率はそこまで高くないと思いますし、私も腕に物を付けるのが好きじゃないので買ったことがありません。。)
さらに、医療分野におけるウェアラブル技術は発展・拡大しつづけています。国内市場規模は2023年に7,000億円を超え、2028年には1.2兆円(!)に到達するという予測もあります(文献1)。
デバイスの形も腕時計型に限らず、指輪(リング)型やコンタクトレンズ型など、多様なデバイスが開発されています。
日本でも、厚生労働省や経済産業省、総務省を中心にさまざまな実証実験が続けられていますが、生活習慣病対策や健康増進、介護や認知症への応用など、今後の日本社会における重要な役割に注目が集まっています。

指輪(リング)型の「Oura Ring」
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績

