【ひとり語り】子宮という存在を考える
子宮という臓器があることは、男女関係なく皆さん知っていると思います。
ただ、子宮という臓器がどういう役割を持っていて、何のために作り出された臓器であり、その存在意義を生命倫理や哲学的視点で深く考えてみたことがある人はほとんどいないのではないでしょうか。
今回は、産婦人科医として、子宮という存在について考えてみます。
あくまでも個人的なひとり語りの形ですが、さまざまな視点から医学的根拠をベースに考察しますので、ぜひ楽しんで読んでいただければ嬉しいです。
この記事でわかること
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子宮とはどのような臓器か(解剖学的視点と生理学的視点)
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妊娠、出産、そして産後におけるダイナミックな子宮の変化
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子宮は女性自身の生命維持に必須な臓器かどうか
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子宮に関わる疾患で、女性の命を危険に晒す可能性のあるものの具体例(子宮のがん、異所性妊娠、子宮筋腫の合併症、感染症)
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生命倫理や哲学的観点からの考察
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マイオピニオン(個人的な総合コメント)
子宮とはどのような臓器か
子宮は、女性の生殖器において中心的な役割を果たす臓器です。まず、生理学的および解剖学的な観点から子宮の機能や役割について確認してみましょう。

子宮のイメージ図。Wikipediaより引用。https://en.wikipedia.org/wiki/Uterus
解剖学的観点
子宮は、主に筋肉組織で構成される臓器で、袋のように中心には空洞があり、骨盤内に位置します。形状は逆さまの梨のようで、上部(頭側)が大きめで、下部(足側)が細めになっています。子宮は大きく以下の3つの部位に分けられます。
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子宮底部(fundus)
子宮の最上部で、左右に卵管が繋がっています。 -
子宮体部(uterus / uterine body)
子宮の中心部分で、内部に空洞があり、妊娠が成立するとそこで胎児が成長します。基本的に子宮内膜と子宮筋層から構成されています。 -
子宮頸部(cervix)
子宮の下部で、腟につながっています。内部には粘液を分泌する腺があり、精子の通過を助けたり、外部からの細菌等から子宮内を守る役割を果たします。
生理学的観点
子宮は生理学的に重要な機能を持ちます。その主な機能は以下の通りです。
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月経周期に合わせた変化
子宮内膜は、月経周期に応じて厚さが変化します。エストロゲンとプロゲステロンというホルモンの影響を受けて、子宮内膜は排卵のタイミングに合わせて厚くなり、受精卵が着床できるように準備します。受精が起こらない場合には、内膜は血液とともに剥がれ落ち、月経として体外に排出されます。 -
受精卵の着床と妊娠維持
受精卵が子宮内膜に着床すると、胎児が成長するための栄養などを送ります。妊娠中、胎児を守り育てるために子宮はどんどん大きくなり、子宮の筋肉はどんどん伸びていきます。 -
出産時の収縮(陣痛)
出産時、子宮の筋肉は強く収縮し、陣痛として胎児を子宮内から押し出します。数分おきの非常に強い収縮が定期的に起こることで、だんだんと胎児が子宮内から下がって子宮頸部を通り、腟を通過して外に出ていきます。
子宮は、その解剖学的構造と生理学的機能を通じて、「妊娠と出産」の中心的な役割を果たします。つまり、子宮は「子どもを妊娠し出産する」という目的のためだけに存在しており、そのために毎月の月経という現象が起こっているんですね。
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