産後うつ病の予防薬ができるかも? 〜最新の研究結果から見えた可能性〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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出産は多くの人にとって喜びに満ちたイベントですが、その一方で少なくない数の女性が「産後うつ病」に苦しむ現実もあります。産後うつ病は、心の健康だけでなく、母子関係や家族全体に大きな影響を及ぼす深刻な問題ですが、なかなか有効な予防策が見出せていないことも事実です。
最近、ある薬が産後うつ病の「予防」に効果的であるという研究結果が報告されました。この記事では、どんな薬か、どんな研究結果が得られたのか、注意点は何か、などの詳細をお伝えします。
*なお、この薬が日本ですぐに使えるというわけではありませんので誤解のないようにしてください。
この記事でわかること
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産後うつ病の新たな予防策として期待されるエスケタミンとはどんな薬か
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エスケタミンの作用の仕組み
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エスケタミンの産後うつ病予防への有効性
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知っておきたいエスケタミンの副作用
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産後うつ病予防への期待と今後の課題
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マイオピニオン(私個人の考えや意見)
産後うつ病の新たな予防策に?エスケタミンとはどんな薬か
産後うつ病は深刻な問題で、母親自身の心身の健康だけでなく、赤ちゃんや家族全体に影響を与える可能性があります。さまざまな研究により、概ね15%程度の産後女性に生じるとされており、決して稀な疾患ではありません。誰にでも起こり得るのです。
産後うつ病は、通常、出産後数週間から数ヶ月の間に発症することが多く、気分の落ち込み、疲労感、焦り、イライラ、不眠、食欲低下、絶望感などの症状が現れることがあります。もし発症し、精神科の先生に診断された場合、必要に応じて入院や服薬治療などが実施されます。ただ、予防薬というものはこれまで確立されていませんでした。しかし、最近注目されているのが「エスケタミン」という薬です。
エスケタミン(esketamine)は、ケタミンという薬の一部から作られた薬で、主に抗うつ作用を持っています。ケタミンはもともと麻酔薬として使われていましたが、エスケタミンには抗うつ作用があることがわかり、うつ病の治療に利用されるようになりました。なので、完全に新しく開発された薬というわけではなく、精神科領域ではこれまでにも使用されてきた薬なのです。
ただし、エスケタミンは日本で未承認です。米国では2019年3月に「治療抵抗性うつ病」に対する治療薬として承認され、鼻腔内に噴霧するスプレーとして用いられています。
この記事は無料で続きを読めます
- エスケタミンの有効性:産後うつ病リスクが大幅に低下
- エスケタミンの作用の仕組み:なぜ効果があるの?
- 知っておきたいエスケタミンの副作用とは
- 産後うつ病予防への期待と今後の課題
- マイオピニオン(私個人の考えや意見)
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