外陰部に生じる「感染性疾患」を徹底解説!

女性の外陰部に起こるさまざまな疾患の原因や症状、診断・治療、予防策と、受診の目安を詳しく解説します。今回は感染性疾患です。
重見大介 2026.04.12
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外陰部(女性器の外側部分)はデリケートゾーンとも呼ばれ、日頃のケアが大事なのですが、ここにはさまざまな異常や疾患が発生します。

本記事では、外陰部に起こる異常や疾患として、感染性疾患にフォーカスを当て、わかりやすく・詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 外陰部の解剖学的特徴と注意すべき症状

  • 性器カンジダ症について

  • 細菌性腟症について

  • 性器ヘルペスについて

  • 梅毒について

  • 尖圭コンジローマについて

  • 淋菌感染症について

  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

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外陰部の解剖学的特徴と注意すべき症状とは?

まず、女性の外陰部の作りや解剖学的特徴をおさらいしてみましょう。

外陰部は恥丘、陰核、大・小陰唇、尿道口、腟口、会陰などから構成され、外部環境へ露出している部位です。場所的に、月経血やおりもの、排泄物に晒されやすく、下着を履いていることでどうしても高湿度になりやすいため、さまざまな異常が起こりやすい部位と言えるでしょう。

また、性行為に伴う粘膜接触やキズ、刺激を受けやすい部位でもありますね。

国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービスの「外陰がんについて」のWebページより引用

国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービスの「外陰がんについて」のWebページより引用

こうした状況を踏まえ、外陰部によく起こりやすい異常所見は以下になります。

  • かゆみ

  • 痛み

  • 発疹

  • 腫瘤(ふくらみ、できもの)

  • 異常な分泌物(膿など)

  • 出血

これらの症状の性状・持続期間などで考えられる疾患が異なるため、一定期間以上続く場合や強い症状がある場合は、早めの婦人科受診が重要になります。

では、ここから外陰部に生じることのある感染性疾患(厳密には対象外とすることが多いですが、ここではカンジダや細菌性腟症なども含めて広く扱います)を一つずつ紹介していきます。
気になる症状があったり、心配になった場合には、ぜひ婦人科へ早めに問い合わせてみてくださいね。

(1) 性器カンジダ症

概要: 消化管や皮膚に常在している真菌であるカンジダ(特にアルビカンス菌)が増殖して起こる疾患です。外陰部・腟の粘膜に炎症を起こし、ポロポロとした白色帯下や激しいかゆみを伴います。4人に3人の女性が、生涯で一度は罹患する疾患とされています。

原因・リスク: 抗菌薬服用、糖尿病、妊娠、ホルモン剤(経口避妊薬など)の使用、免疫力低下(がんに対する化学療法や、免疫抑制剤の使用など)、性交渉、通気性の悪い下着、不適切な自己洗浄などで発症リスクが上がります。ただ、原因不明なことも多いです。普段から身体に常在する菌ですが、これらの疾患や状態変化によって細菌叢のバランスが崩れ、カンジダが増殖することで発症してしまいます。

症状・サイン: 外陰部の激しいかゆみ、灼熱感、赤み、白色のカッテージチーズ様の帯下(おりもの)がよくある症状です。尿道周囲の発赤や排尿痛を生じることもあります。慢性的・再発性の場合は、外陰部の皮膚に帯状の亀裂(裂創)や皮膚炎を合併することもあります。

Wikipediaより引用。カッテージチーズの画像です。

Wikipediaより引用。カッテージチーズの画像です。


診断のポイント: 視診で典型的所見(特徴的な白色帯下、外陰部の赤みなど)を確認し、腟分泌物の顕微鏡検査や培養でカンジダを同定します。実際には、診察時の所見だけで臨床診断され治療を開始することも多いです。重症例や繰り返す場合は、菌種・耐性検査を行うこともあります。

治療法: 抗真菌薬を用います。外陰部には外用治療(塗るタイプの薬)が一般的で、治療用のクリーム(エンペシド、フロリードD、アデスタン、オキナゾールなど)を外陰部に塗布します。重症例・再発例には経口薬での治療を行うこともあります。妊娠初期や重篤な基礎疾患がある場合は、医師と相談して治療法を決定します。また、年間4回以上再発を繰り返す場合には「再発性」とみなし、通常より1回あたりの治療期間を長くすることもあります。なお、初発ではなく再発で、以前と同じ症状の場合には、市販薬での治療も可能です。ただし、市販薬を使い始めて数日経過しても改善しない、何度も繰り返している、いつもと症状が違う、などという場合には、必ず早めに婦人科を受診してください。

予防策: 他の疾患への抗菌薬の使用は必要最低限にし、自身での腟内洗浄を避けること、通気性の悪い下着や衣類(タイトなストッキングやジーンズの長時間着用、ナイロンやポリエステルなどの下着)を避けることが大切です。糖尿病を持っている人では適切な血糖管理も大事です。性交渉そのものが必ず発症原因になるわけではありませんが、性交後に症状が悪化しやすい人もいるので、発症時やかゆみなどの症状があるときには避けた方が良いでしょう。

受診の目安: 強いかゆみや灼熱感、出血、皮膚表面の傷の悪化があるなどの場合は早めに受診しましょう。(適切な)セルフケアで1週間後に改善しない場合もぜひ婦人科へ。妊娠中や基礎疾患のある方は、自己判断せず医師に相談してくださいね。

*以下の過去記事もぜひご参照ください。

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続きは、4524文字あります。
  • (2) 細菌性腟症
  • (3) 性器ヘルペス
  • (4) 梅毒
  • (5) 尖圭コンジローマ
  • (6) 淋菌感染症
  • マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)

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