帝王切開についてよくある5つの誤解
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帝王切開によくある5つの誤解
待望の赤ちゃんとの出会いは、人生で最も感動的な瞬間の一つかもしれません。しかし、出産の方法について不安や誤解があることも、多くの女性やそのご家族を悩ませています。特に帝王切開に対する誤解や誤情報は根強く、そのリスクや選択肢について混乱している方も少なくないでしょう。帝王切開は、2020年のデータで全分娩のうち約22%を占めていますし、今後もこの割合は増えていく可能性があります (1)。
今回は、帝王切開にまつわる5つのよくある誤解・誤情報と、それに対する医学的な正しい回答を紹介します。将来妊娠を考えている方、妊活中の方、妊娠中の方、そしてそのパートナーやご家族の方に役立つものだと思います。
帝王切開の一般な手術の流れ
まず、帝王切開の一般的な手術の流れを説明しておきます。
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入院および事前検査:通常、手術前に入院し、必要な検査や説明を受けます。
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麻酔:手術室に入室後、一般的に下半身麻酔(脊椎麻酔や硬膜外麻酔)が用いられます。
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手術部位の消毒:手術部位の清潔を保つため、皮膚を消毒し、場合によっては必要な範囲を剃毛します。
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皮膚の切開:まず腹部の皮膚を横方向(場合によっては縦)に切開し、その後筋肉や膜を開いていって子宮に到達します。
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子宮の切開:子宮壁を切開(通常は横切開)し、赤ちゃんが出てこれるような出口を作ります。
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赤ちゃんの娩出:赤ちゃんを子宮から取り出し、臍の緒が切られます。赤ちゃんは待機している手術スタッフや助産師に手渡されます。
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胎盤の娩出:赤ちゃんが取り出された後、胎盤が子宮から取り出されます。
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子宮と腹部の縫合:出血部位を止血しながら子宮壁を縫合し、その後に筋肉、膜、皮膚を順番に元の状態に戻していきます(施設や医師によって多少の違いがあります)。
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手術の終了:手術が終了すると状態に問題ないことを確認後に病室へ帰ります。
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術後観察・リハビリ:特に手術後24時間は状況に変化がないかをよく観察します。術後、日本では概ね1週間ほど入院することになります。
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- 誤解(1) 帝王切開は簡単で痛みのない出産だ
- 誤解(2) 帝王切開は誰でも選んで受けられるものだ
- 誤解(3) 帝王切開を受けると次の出産も必ず帝王切開になる
- 誤解(4) 帝王切開は母子の絆を弱めてしまう
- 誤解(5) 帝王切開は母親の授乳に悪影響を与える
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