【ひとり語り】男性の医療者が産婦人科診療に携わること
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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男性の医療者は産婦人科診療に関わるべき?
医療者にもその権利はあるのでは?
最近、男性看護学生や男性看護師の「ジェンダー平等」に関するニュース記事が掲載され、話題を呼んでいます。SNSでもかなり賑わいを見せています。
私なりに、でもできるだけロジカル(論理的)に、このテーマを考察してみました。読み物や考えてみるきっかけとして、お楽しみいただけると嬉しいです。
この記事でわかること
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話題となっているニュースについて
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論点1:患者さんのプライバシーと心情
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論点2:性別による偏見とステレオタイプ
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論点3:専門性と技術の向上、教育の機会
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論点4:法律や倫理的な観点
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論点5:国際的な状況の比較
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論点6:女性患者さんからのフィードバック
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男性の産婦人科医と男性の看護師の比較
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マイオピニオン(個人的な総合コメント)
話題となっているニュースについて
そのニュースとはこちらです。
この記事は連載記事の一つで、連載のテーマは「ジェンダーバイアスと向き合う男性たち」です。記事を読んでみると、以下のような冒頭の文章にあるように、その問題提起やテーマ自体は私も違和感を持っていませんし、大事なことだと思います。
男性看護師が増えにくい背景には、長年にわたる「看護師=女性の仕事」という社会のジェンダーバイアスのほか、長期的なキャリアパスの描きづらさ、といった課題が潜んでいます。しかし医療の質を高める上でも、性別にとらわれず職業を選択できる社会の実現のためにも、性別を問わず多様な人材が活躍できる形へと進化することが望まれています。
しかし、炎上のようになっている原因は、記事内の以下の部分です。
まず、男子学生が看護実習を受ける際に一定の制限が存在します。具体的には、産科実習で出産に伴う乳房ケアを実践させてもらえない、出産に立ち会う場面で男子学生のみ室外に出される、といったケースが起こっています。
医療職である意識を持ってまじめに学んでいる学生にとっては、性別で学習機会が奪われることに憤りを感じる声が聞かれます。
ここに、女性患者の立場や医療従事者の立場から、多くの意見が寄せられている状況だと私は認識しています。ちなみに、私がポストしたX(旧:Twitter)にも多くの反響が寄せられており、本記事の配信時点で20万インプレッションを超えています。
・男子学生は産科実習で出産に伴う乳房ケアを実践させてもらえない
・出産に立ち会う場面で男子学生のみ室外に出される
といったケースが記事内に例で挙げられていますが、、…
それでは、「男性の医療者が産婦人科診療に携わること」について考察するにあたり、論点を私なりに整理してみました。今回は、6つの論点に分け、まずは男性看護師に焦点を当てて考えていきたいと思います。できるだけフラットな視点を心がけていきます。