【ひとり語り】男性の医療者が産婦人科診療に携わること

ニュースやSNSで最近話題となっている「男性の医療者が産婦人科診療に携わること」について、私なりに考察してみました。
重見大介 2024.08.26
サポートメンバー限定

本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。

今回はサポートメンバー限定記事です。最後までご覧になりたい方はサポートメンバー登録をお願いいたします。

男性の医療者は産婦人科診療に関わるべき?
医療者にもその権利はあるのでは?

最近、男性看護学生や男性看護師の「ジェンダー平等」に関するニュース記事が掲載され、話題を呼んでいます。SNSでもかなり賑わいを見せています。

私なりに、でもできるだけロジカル(論理的)に、このテーマを考察してみました。読み物や考えてみるきっかけとして、お楽しみいただけると嬉しいです。

***

この記事でわかること

  • 話題となっているニュースについて

  • 論点1:患者さんのプライバシーと心情

  • 論点2:性別による偏見とステレオタイプ

  • 論点3:専門性と技術の向上、教育の機会

  • 論点4:法律や倫理的な観点

  • 論点5:国際的な状況の比較

  • 論点6:女性患者さんからのフィードバック

  • 男性の産婦人科医と男性の看護師の比較

  • マイオピニオン(個人的な総合コメント)

***

話題となっているニュースについて

そのニュースとはこちらです。

この記事は連載記事の一つで、連載のテーマは「ジェンダーバイアスと向き合う男性たち」です。記事を読んでみると、以下のような冒頭の文章にあるように、その問題提起やテーマ自体は私も違和感を持っていませんし、大事なことだと思います。

男性看護師が増えにくい背景には、長年にわたる「看護師=女性の仕事」という社会のジェンダーバイアスのほか、長期的なキャリアパスの描きづらさ、といった課題が潜んでいます。しかし医療の質を高める上でも、性別にとらわれず職業を選択できる社会の実現のためにも、性別を問わず多様な人材が活躍できる形へと進化することが望まれています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3753e752ebce41b8d20f95ebd086c037327fbc57

しかし、炎上のようになっている原因は、記事内の以下の部分です。

まず、男子学生が看護実習を受ける際に一定の制限が存在します。具体的には、産科実習で出産に伴う乳房ケアを実践させてもらえない、出産に立ち会う場面で男子学生のみ室外に出される、といったケースが起こっています。
医療職である意識を持ってまじめに学んでいる学生にとっては、性別で学習機会が奪われることに憤りを感じる声が聞かれます。

ここに、女性患者の立場や医療従事者の立場から、多くの意見が寄せられている状況だと私は認識しています。ちなみに、私がポストしたX(旧:Twitter)にも多くの反響が寄せられており、本記事の配信時点で20万インプレッションを超えています。

Daisuke Shigemi | 重見大介 | 産婦人科医
@Dashige1
「男性看護師が抱えている問題」として
・男子学生は産科実習で出産に伴う乳房ケアを実践させてもらえない
・出産に立ち会う場面で男子学生のみ室外に出される
といったケースが記事内に例で挙げられていますが、、…
2024/08/25 21:53
313Retweet 2062Likes

それでは、「男性の医療者が産婦人科診療に携わること」について考察するにあたり、論点を私なりに整理してみました。今回は、6つの論点に分け、まずは男性看護師に焦点を当てて考えていきたいと思います。できるだけフラットな視点を心がけていきます。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、6136文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

提携媒体・コラボ実績

読者限定
【YouTube対談アフタートーク(1/2)】月経に関する誤解やデマ、...
サポートメンバー限定
【募集質問への回答】子宮頸部内視鏡、出産時の会陰切開、家庭での性教育の...
読者限定
ロボット手術ってどんなもの? 〜近年の最新技術と未来像とは〜
サポートメンバー限定
【募集質問への回答】産後の月経周期、閉経時期の対処法、性交渉の回数と妊...
読者限定
産後うつ病の予防薬ができるかも? 〜最新の研究結果から見えた可能性〜
サポートメンバー限定
思春期女子のマスターベーション 〜メリット・デメリットを医学的に徹底解...
サポートメンバー限定
出産立ち合いで産婦人科医は何を考えてる? 〜頭の中を大公開〜
読者限定
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の恐ろしさ 〜妊婦や新生児の注...