テストステロン(男性ホルモン)は、心と脳にどう関わる?
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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テストステロンは「男性らしさ」をつくるホルモンとして語られがちですが、実際にはそれだけではありません。脳の発達、気分、やる気、不安、対人行動、そして一部の認知機能にも関わることがわかってきました。
ただし、その働きは単純ではなく、「多いほどよい」「少ないと悪い」とも言い切れません。
今回は、近年の論文(文献1,2)をもとに、テストステロン(男性ホルモン)が気分・行動・認知・発達にどう影響するかをわかりやすく整理してみます。
男性が女性ホルモンのことを理解するのが大事なのと同様に、女性が男性ホルモンについて正しく知っておくこともまた大切だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、テストステロンの基本は以下の記事で解説したので、そちらから読んでいただくとより理解しやすいかもしれません。
この記事でわかること
テストステロンは「性格」にどう影響するのか
胎児期から思春期におけるテストステロンによる脳への影響
気分・やる気・不安にどう関わるか
頭の働き(記憶や空間認知)とどう関係するのか
攻撃性や社会性、自信、リスク行動、自閉症などとの関係
よくある誤解と正しい理解
マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
テストステロンは「性格」にどう影響する?
テストステロンは一般に「男性ホルモン」と呼ばれますが、男女ともに体内に存在し、特に男性では量が多いホルモンです。
性機能や筋肉、体つきに関わるイメージが強い一方で、実際には気分、行動、自己評価、生活の質、さらには脳の発達や一部の認知機能にも関与すると考えられています。
近年の論文では、テストステロンは気分や行動のバランスに関わる神経活性ステロイドとして位置づけられており、単なる「性のホルモン」では説明しきれない役目を持つことが示されています。
ただし、ここで大切なのは、テストステロンが気質や性格を単独で決める存在ではない、ということです。
脳や行動への影響は、遺伝的背景、年齢、発達段階、他のホルモンとの関係、ホルモン受容体の感受性、生活環境など、多くの要因によって左右されます。しかもテストステロンそのものだけでなく、体内でより作用の強いジヒドロテストステロンというホルモンへ変換されたり、エストラジオールというホルモンへ変換されたりして働くため、そうそう単純ではないのです。
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