妊娠中じゃないのに「胎動」を感じることがあるってほんと? 〜胎動幻覚という不思議な現象〜
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
今回はサポートメンバー限定記事です。最後までご覧になりたい方はサポートメンバー登録をお願いいたします。
「妊娠していないのに、胎動みたいな感覚を感じた…」
そんな声を聞くことがあります。
実は、出産を経験した女性の一部に、ふとした瞬間に「まだお腹に赤ちゃんがいるような感覚」を感じることが報告されています。
さまざまなケースがあるようですが、驚きや戸惑い、時に切なさを伴うこの不思議な現象。
今回はこの「胎動幻覚」とも呼べる現象について、どれくらい起こるのか、誰に起こりやすいのか、そして考えられるメカニズムをわかりやすく解説します。
産科医療に関わる医療従事者にとっても、妊産婦さんにとっても、将来妊娠するかもという人にとっても、興味深いトピックではないでしょうか。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
-
胎動幻覚とはどんなものか
-
胎動幻覚の実際:頻度、起こるタイミングなど
-
胎動幻覚は実際どんなふうに感じるのか
-
どんな人に起こりやすいのか
-
考えられるメカニズム(仮説)
-
マイオピニオン(総合的な私個人の考えや意見)
「胎動幻覚」って、なに?
出産後に「胎児がもういないのに、妊娠中の胎動のような腹部の感覚」をふと感じることがある。
そんなことが、実は世界中で報告されています。
2026年にBJOGという有名な医学雑誌に掲載された論文(文献1)では、この現象を「phantom fetal movements(PFMs)」と書いており、蹴られた・パンチされた・コロコロ転がる感じなど、胎動を思い出すような感覚として説明しています。
日本語で表現するとすれば「胎動幻覚」とでも呼ぶのでしょうか。(正式な医学用語ではなく私が日本語訳した表現です)
*なお、この論文のタイトルは「Echoes of Pregnancy」という言葉から始まっており、その神秘性というか不思議さをうまく物語っているなぁと感じました。
胎動幻覚は、まだ十分に研究されていない現象なのですが、どうやらこれが「気のせい」や「おかしなこと」だと決めつけられるものでもなさそうなのです。
上記論文では、考えられるメカニズムを含めて解説しており、個人的にも読んで面白かったので、本記事はこの論文をベースにわかりやすく整理していこうと思います。
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績