書籍レビュー「女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから」
本ニュースレターでは、女性の健康や産婦人科医療に関わるホットトピックや社会課題、注目のサービス、テクノロジーなどについて、産婦人科医・重見大介がわかりやすく紹介・解説しています。「○○が注目されているけど、実は/正直言ってxxなんです」というような表では話しにくい本音も話します。
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どんな本?
最初に、どんな本かをざっくり紹介します。
著者の犬山さんはイラストエッセイストで、2017年に女の子を出産されました。2018年には、児童虐待問題の解決に取り組む「こどものいのちはこどものもの」を立ち上げ、育児をしながら子どもを守る活動をなさっています。
まず、タイトルがドキッとしますよね。
「女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから」という一言には、読者にとっていろんな思いや想像をかき立てる力がこもっているような気がします。私は男性ですが、きっと女性は全然違う印象を受けるのだと思います。そして、犬山さんの想いがこの一言にギュッと込められているような気がしますね。
本の概要は、公式の紹介文を一部載せておきます。(変に私の誤った表記を入れたくないので)
女の子を育てるうえで大切にしたいことを、専門家と一緒に考えました。
"母娘関係、性教育、ジェンダー、SNSとの付き合い方、外見コンプレックス、いじめ、ダイエット"
女の子を育てる時期に知っておきたい“どうしよう”とその乗り越え方を一緒に考えませんか?
「女じゃなかったら、なかっただろうな」という痛みがたくさんあります。
娘もまた、この痛みを経験するのか。そんな思いはさせたくない。
「女の子に生まれなければよかった」と、後悔してほしくない。
そう、強く願いました。願いましたが、守り切れる自信がないのです。でも、守ることを絶対にあきらめたくない。
家庭の中、保護者ができることを知らねば。そう思い、たくさんの専門家の方や当事者の方、アクティヴィストにお話をうかがいました。
専門家の知恵を借り、知って、実践することで、女の子が生きていていいと思える、自分でよかったと思える心の土台、自尊心を育むことができると思うのです。
この本を書いたところで、社会をガラリと変えるのは難しいかもしれません。
けれども、次の世代に向けて声を上げること、その姿を娘や若い人に見てもらうことはできるのかな、とも思うのです。
どうか、これから羽ばたいてゆく女の子たちが、「女の子に生まれなければよかった」と思わずに、「自分でよかった」と思いながら暮らせますように。
そして、私たちも「私でよかった」と思いながら暮らせますように。
本書は、上記のような犬山さんの原体験と強い想いから生まれたのですね。
そして、多くの専門家や当事者、活動家へ話を聞くことで、客観的なデータや医学的知見に基づく「ファクト」をベースに話が進んでいくので、一個人の意見だけがつらつらと書かれたものではありません。これは一読者としてとても信頼が置けましたし、読みやすい要因だったと感じます。
【登場する専門家】(敬称略)
上野千鶴子、SHELLY、荻上チキ、みたらし加奈、清水晶子、長田杏奈、吉野なお、稲葉可奈子、内田舞、鈴木朋子
私が仲良くさせていただいている稲葉先生も登場します!